不動産取引現場での意外な誤解 売買編182 令和3年の民法改正で業務上最も身近な問題は?
住宅新報 2022年11月1日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q 今回は、業務上最も身近な問題としての法改正の話をうかがいます。
A 今回も、所有者不明土地関連から始めます。例えば宅建業者が、これから郊外部や地方部でマンション分譲事業を行うための用地を買収するとして、たまたまその事業地の隣接地には電気・ガス・水道等のインフラが整っているが、買収予定地には全く整備されていない。そのため、どうしても隣接地の既存の設備を利用し接続させる必要があるという場合に、事前に、その目的、場所、方法を定めた「通知」を隣接の土地所有者等にすることにより、既存の設備と接続することができるという法改正がなされています。これが、新たに設けられた「継続的給付を受けるための設備設置権」といわれるものです(改正民法213条の2ほか)。
Q 所有者不明土地でなくても認められますか。
A 認められます。その土地の所有者や利用者が接続希望者からの「通知」を拒絶したり単に連絡が取れないというような場合でも、権利行使ができる「法定の権利」として定められています。したがって、そのような場合の権利行使は、民法98条の「公示送達」の方法で通知することになると考えられています。
Q そのほかにも、法改正はあるのですか。
A あります。その1つは、「隣地立入権」の問題です。今まで、自分の家や塀を建てるためであれば、隣地への立ち入りを請求できるという規定を誤解して、隣の空き家・空き地に勝手に入って測量するというようなトラブルがありました。今回の改正で、「請求することができる」という規定を「使用することができる」と改めつつ、その前提として、「事前通知」を義務付けると共に、所有者不明等の場合には「事後通知」でよいとしました(改正民法209条(3))。
もう1つは、隣地から越境している竹木の切除権の問題です。この点も、現行法の「切除させることができる」という規定を改め、越境されている土地の所有者からの相当の期間を定めた「催告」があるにもかかわらず、切除しない場合に「切り取ることができる」と改めると共に、所有者不明等の場合には、「催告なしに切り取ることができる」と改めました(改正民法233条(3))。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男






















