「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第9回 旧耐震基準の賃貸住宅 耐震改修やるだけ損か
住宅新報 2022年9月20日 号 18面
今回から2回にわたって賃貸住宅の耐震について考察したい。
昨今、分譲マンションの所有者の高齢化による管理不全が話題になることが多いが、賃貸住宅もオーナーと共に建物の高齢化が進展するという意味では同様の問題を抱えている。
ただ賃貸住宅の場合、管理不全は管理委託で防げるが、問題は旧耐震物件の放置である。
これは旧耐震基準の分譲マンション同様にほとんど耐震診断・補強がされておらず、今後大きな地震が起きた際に借主が賃貸住宅の中で被災することで問題が表面化することが予想される。
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まず基本的なことを確認しておきたい。耐震基準は建築基準法で定められており、過去に1971年、1981年、2000年と3度の大きな改正があった。この中で81年の改正で同年5月31日までに確認申請を受けた建物は「旧耐震基準」、同年6月1日以降に確認申請を受けた建物は「新耐震基準」とされている。
旧耐震基準は震度5程度の中規模の地震に耐えられ、新耐震基準は震度6~7程度の地震でも倒壊しないというものである。厚生労働省の「人口動態統計からみた阪神・淡路大震災による死亡の状況」によると、95年の阪神淡路大震災では震災で死亡した人の約8割が窒息・圧死となっている。これは家具や建物の倒壊によるものが原因とされる。これがきっかけとなり、先に示した00年の建築基準法改正につながった。
また、これらのことを踏まえて政府は25年までに耐震性が不十分な建築物をおおむね解消するという目標を掲げている。
旧耐震基準の賃貸住宅は放置できない問題である。しかし、多くの場合は耐震診断すらなされていない。耐震診断をして「耐震補強の必要あり」と結果が出たら逃れられないということもあろう。
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国土交通省指定耐震改修支援センターによると耐震改修費用は3~5階建ての共同住宅(150m2)でおおむね300万~800万円程度が目安とされる。こうした耐震診断費用や耐震改修費用については自治体の助成制度を活用できる場合もある。ただ、一般の住宅と違い賃貸住宅の場合は投資の側面があり、耐震改修をしても相応の家賃アップが図れない場合は、端的に言うと「やるだけ損」と考える人も出てくる。
そうも言っておられないことも知っておいてほしい。阪神淡路大震災では賃貸住宅の倒壊で借主が亡くなり、遺族が大家を訴え、大家は裁判で負けた。
次回はその裁判のポイントになった「土地工作物責任」について解説したい。
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【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。
























