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スタンダード会員限定マン管適正評価制度、始動半年 利用拡大が本格化の様相 メリットの認識は要軌道修正か

住宅新報 2022年9月13日 号 1面

総合
「マンション管理適正評価サイト」における物件掲載状況

「マンション管理適正評価サイト」における物件掲載状況

 「マンション管理適正評価制度」(以下、評価制度)は、国の法律に基づき地方自治体が認定する「マンション管理計画認定制度」(以下、認定制度)と同じく22年4月に運用が開始された。マンション管理の質的向上を促進する点は共通しているものの、それぞれに趣旨や運用方法などが異なる。特に認定制度は、現段階では自治体により状況が大きく異なるため、今回は既に一定の活用がなされている評価制度に焦点を当てた。

総会経て具体化進む

 まず現状を見てみよう。現在公開されている物件数は33件。マンション管理業協会調査部の前島英輝次長はこの件数について、「感覚的には予想よりも少ないものの、意欲的な組合は早々に活用してくれたという印象」と受け止める。制度への登録申請に必要な総会での承認決議を考慮すれば、まだ時期的には〝できれば数は多いほうが望ましい〟といった段階のようだ。

 同時に、今は登録申請に向けた管理組合の動きが本格化しているタイミングでもある。前島次長は「水面下では、評価や手続きを行っている物件が現時点で100件を超える。約1~2カ月後には、これらの物件の情報も公開される見込みだ」と明かす。

 この動きは、管理組合の活動スケジュールの都合によるところが大きい。管理組合の総会は6月ごろが一般的なため、総会決議で制度利用を決め、各種書類などを作成してから登録申請を行うと、8~9月に申請と評価手続き等が重なるという事情だ。

 大手管理会社に現状を尋ねたところ、同様の動きがうかがえた。例えば、現在のところ受託管理物件の掲載数が最も多い東急コミュニティーは、「評価向上のための改善策と併せて提案を実施しており、110管理組合から総会承認決議をいただいている。また申請に当たり、1800を超える管理組合が継続的な検討を実施している」(同社広報担当者)という状況だ。

 また掲載物件すべてが最高評価の星5つで最多の野村不動産パートナーズの担当者は、「現時点で、十数組合が登録申請へ向けて具体的な準備・取り組み(総会決議など)を行っており、具体的に検討中の組合も50件超ある」とする。こうした管理組合についても、近い将来に評価制度利用と情報公開が予想される。

 また、同協会の高松茂理事長が会長を務める三井不動産レジデンシャルサービスは、「社内的にはすべてのマンションの評価を終え、今年度中には、各物件の事情にも配慮しながら原則すべての受託管理組合に制度の説明を行っていく方針だ」(同社担当者)と意欲を見せる。水面下で制度活用の準備が進んでいるのは、こうした業界の働き掛けの結果と言えるだろう。

「居住価値向上」を軸に

 とはいえ制度の理想的な活用に向けては、やはり課題も複数指摘されている。

 一定の評価を取得するためには長期修繕計画の見直しが必須となるケースもあり、意欲はあっても対応が難しい管理組合は多い。また管理会社側の対応力が追い付かず、十分な周知を図れていない場合もある。

 加えて、評価制度利用によるインセンティブも発展途上だ。制度の趣旨としては、管理の質的向上による市場評価と資産価値の向上、そして住む人自身にとっての「居住価値」の維持向上が狙いではあるものの、その認識が十分に届いていないと同協会は見る。

 他方、管理組合側としては、より直接的なメリットを期待する部分も否めない。同協会も、評価に応じた各種保険の優遇を目指しており、実際に損害保険ジャパンが評価結果をリスク評価に利用することを決定。しかし前島次長は、「保険におけるメリットを強くアピールしすぎたかもしれず、反省点と捉えている」と率直に語る。「居住価値」の向上が制度の根本的な部分であり、管理会社にもそれを認識して管理組合に提案を行っていくよう期待を寄せる。

 インセンティブについては、国による後押しも気になるところだ。同協会は、8月29日に公開した政策・税制改正要望で、「評価制度で一定以上の評価を得たマンションに対する税制優遇」を求めている。

 一方で、国土交通省が8月25日に示した「23年度税制改正要望」には、大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の特例措置創設が盛り込まれており、その対象を「管理計画認定マンションその他一定の要件を満たすマンション」としている。ある業界関係者は、「認定制度は自治体の対応状況により利用できない場合がある。評価制度であれば全国をカバーしているため、公平性の面から補完の〝要件〟として妥当なのでは」と指摘する。

 しかしながら、同特例措置の項目を担当する同省住宅局の保坂美月課長補佐によると、「今のところ(要件に)評価制度を含める予定はなく、(評価制度に関しては)白紙の状態に近い」というのが現状。併せて「地域的な空白が生じる点は指摘の通りであり、その補完制度とする可能性もゼロではないが、具体的な検討はこれから。今回の要望は、認定制度の前提となるマンション管理適正化推進計画を各自治体に進めてもらうことが趣旨だが、当然、関連業界の声もしっかりと聞きながら取り組んでいきたい」と保坂課長補佐は言い添えた。

 制度活用の面でもインセンティブの面でも、評価制度は準備期間を終えて、普及拡大と軌道修正のフェーズに移行しつつある様子だ。同協会は年度内に詳細なデータ集計と分析も予定しており、22年度下半期には業界を挙げた取り組みとその成果が、更に顕在化していくものと見られる。

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