ニュースが分かる! Q&A 〝ブーカ〟な時代の「DEI」とは 変化の時代に多様な人材を生かす
住宅新報 2022年9月6日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A
友人A 今般の状況は、壮大な社会実験のように環境の変化が目まぐるしいね。
友人B 柔軟に暮らし方、働き方を変えた人、頑なに抵抗する人と様々だ。今はVUCA(ブーカ)の時代と言われる。元は軍事用語で、「変動性」「不確実性」「複雑性」「曖昧性」の英語の頭文字から「VUCA」と言われる。
友人A ブーカ?
友人B 先行きが不透明、将来の予測はつかない。最新テクノロジーが発達し、従来では考え付かなかったサービスが生まれている。人は自ら考えて動ける自律した人材になり、企業は激変する状況にも対応できるよう強い組織づくりが求められている。AI(人工知能)が普及し、人にしかできない創造する力、企業は多様な人材を受け入れて生かす人材戦略が必要だ。
友人A 人材戦略とは?
友人B 最近は、「DEI」の考え方が広がった。これも英語の頭文字から、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)の3つの意味を持つ。従来は「D・I」だけだったが、「E」の「公平性」が加わった。大手企業では、その取り組みをホームページなどで公表している。
友人A DEIが企業の経営方針になっているのか。
友人B 人には多様性がある。ダイバーシティは人種、性別、年齢、宗教、性的な指向、障がいなど、社員の多様性を認めて活躍してもらえれば、ほかの社員の考え方にも多様性が生まれる。従来の慣行とは異なる視点で社内に新しい風が吹くイメージだな。
友人A 新しい風が吹く。
友人B 多様な思考は様々な経験を増やし、スキルの向上につながる。企業は多様性ある組織体制とし、その支えとして公平な報酬と制度を構築する。これらを包括する企業文化を育てる必要がある。
友人A 多様性ある組織。
友人B 不動産テック企業では世界を視野にしたグローバル対応で、外国人や若手人材の活用に積極的だ。不動産会社などの一般企業でも、女性管理職の登用や、テレワークの普及で子育て世代のママが産前産後にスキルを断絶せずに、キャリアアップを図れる企業環境になってきた。
友人A 人事部やマネジメント層に必須の着眼点だな。
友人B 最近注目され始めたエクイティは、公平性を促進する観点だ。公平性と平等性は混同されがちだが、意味が違う。例えば、不動産取引でスマートフォンやタブレットが使われるが、同じ性能の機器を消費者に提供するのは〝平等〟だ。ただ、利用する消費者には視力や聴力、指先に不自由な人がいる。タッチパネルの文字やボタンを大きくする機能、自動で文字起こしする音声認識ソフトを付加すれば、操作上で〝公平〟な機会を提供することになる。個々の人の多様性に着目し、それぞれのニーズに合わせることが公平性ということだ。
友人A 公平性は重要だ。
友人B 性別に関わらずに仕事の内容に応じた報酬なのか、すべての人に能力開発や昇給、昇進の機会が与えられているのか。公平性がなければ、多様性や次に話すインクルージョンも促進できない。その際には人材を公正に評価できる能力が必要。単に人の好き嫌いが判断基準なら、保育園児でも好き嫌いを理解でき、「ニンジン、ピーマン嫌い」などと判断して言える。
友人A 包括性とは?
友人B ダイバーシティがさまざまな人を受け入れる観点だ。インクルージョンは、包括してそれらの人たちの個性を生かすということ。例えば、保育園の送り迎えのために早く帰宅しづらい社内の雰囲気では、子育てママが業務上の意思決定で参加や意見もしづらくなる。従来の価値観が社内に残り続けていれば、多様な人材を生かせない。
友人A 従来の価値観か。
友人B 多様な人材を生かして公正に評価し、公平な報酬や制度、手続きの提供が企業の潮流になってきた。こうした観点が注目されるのも、社会構造に根強く不公平が残っている証拠だ。新しい価値観のDEIは、問題の本質を考える機会になる。
友人A 表層だけを見ていて問題の本質には気づかず、考えもしない人たちが少なくないからな。昭和の時代のまま思考停止した会社では、その実践は永遠に難しそうだ。
友人B 不公平が残るのは今まで通りに楽をしたい人がいるからでもある。思考停止の人を認めることも多様性だが、それが社内の多数派ならば成長や発展、未来もない。
























