物流不動産ビジネス ケーススタディ 倉庫ドクター・コンサルの現場から 第5回倉庫が必然になるとき イーソーコ総合研究所代表取締役 出村亜希子
住宅新報 2022年8月16日 号 3面

オフィスビルから倉庫ビルに転居したテナントから、倉庫の選択が「最善であり、必然だった」との声を多く頂きます。倉庫の1階に入居したピアノメーカーは、以前の入居先ではピアノを窓からクレーンで出し入れしていたそうですが、今ではトラックから出したピアノをそのままショールームに運ぶことができるようになりました。一方、カゴ台車を頻繁に出し入れする撮影機材のレンタル会社は、以前の入居先では一般的なオフィスビルで通路幅が狭く、養生し十分気を付けていても壁の破損が絶えなかったそうです。倉庫では余裕のある通路を確保でき、荷摺(にずり)と呼ばれる壁の補強もされているため、壁を傷つけることがなくなり、入出庫業務の効率が良くなったと喜んでいただいています。
倉庫が合理的かつ必然的に選択されるケースとはまず、空間の大きさが評価されるときでしょう。建物の間口が広く、大きな荷物が入れられ、荷物の出し入れが容易にできる。EVはサイズを問わず多くの荷物を一度に乗せられ、内部も荷物の出し入れを想定して床や壁が補強されています。台車などの往来を想定しており、段差が少ないバリアフリーでもあります。一般的なオフィスビルでは持て余すような、大型の家具や機械、美術品、ピアノ、一般的なビルの乗用EVに収まらないサイズのものを扱うとき、倉庫は最適です。
重量のある大型機械を扱う工房やラボとしての利用を検討する場合も、倉庫は有力な候補となり得ます。空間の大きさに加え、建物の床荷重が鍵になるのです。オフィス物件では1階を除き、床荷重は1m2当たりせいぜい300~500キロほど。金庫やデータサーバーを置く場合は、小さな面積に荷重が集中するのを防ぐため、鉄板を敷いて荷重を分散するなどの対策が必要なこともあるほどです。大型機械ならなおさら、一般的なオフィスビルでは諦めざるを得ません。一方、倉庫なら1m2当たり床荷重1500キロほどの物件も多くあります。






















