不動産取引現場での意外な誤解 売買編180 敷延部分を隣人と共同利用したら私道になる?
住宅新報 2022年8月2日 号 15面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 宅建業者は、敷地延長物件(以下「敷延物件」という。)を取り扱うことがありますが、中には、その敷延部分の間口が2メートルに満たないため、その不足分を隣地所有者から借地したり購入したりして建築基準法43条の接道義務を満たしている物件があります。このような物件の敷延部分は宅建業法上私道扱いになるのでしょうか。
A 必ずしも私道扱いになるわけではありませんが、その敷延部分の扱いについて、敷地所有者と取り決める内容のいかんによっては、私道扱いとなるものもあります。例えば、その敷延物件の所有者が、その不足している部分の借地や購入に当たり、その隣地所有者との間で敷延部分を通行させたり、配管を認めるというような取り決めをした場合には、その敷延部分全体を私道として扱い、「私道に関する負担に関する事項」として重要事項説明をする必要があるからです。なぜならば、そのような敷延部分はもはやその所有者だけが使用収益する土地ではなく、隣地所有者との共同利用・共同管理に属する道になっているからです。
したがって、その場合の取り決め事項として最も大事なことは、その不足分として新たに敷延部分の面積に組み込まれた部分も含めて、その全部を建築基準法上の建蔽率・容積率の計算対象にするということを隣地所有者との間で取り決めておくということです。
Q 要は、その敷延部分の不足分を補充するには、その不足分を購入するのが一番よいが、借地をしたり共有にする場合には、その敷延部分全体を「建物の敷地」として使うということを隣地所有者との間で取り決めておくことが重要だということですね。
A その通りです。本件のような土地の場合はもともと接道義務を満たしていない土地ですから、そのためには多少の不便や出費があっても、一番大事なことだけは守るという覚悟が必要だということです。
Q 隣地が多少でも開発の余地のある土地であれば、その開発によるメリットを隣地に与えるというような対応もできますね。
A そうです。本件の隣地が空き地にでもなっているのであれば、両方の土地を合わせて4メートル以上の道路にして、全体を宅地開発するというような対応もできるのではないでしょうか。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男






















