ニュースが分かる! Q&A 東京都の太陽光発電設置義務化の行方は? 意見募集終了、改善難しい課題も
住宅新報 2022年6月28日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A
住宅会社営業A 東京都が新築住宅の太陽光発電システム設置の義務付けに向けた条例改正を検討しているようだ。6月24日まで中間とりまとめに対するパブリックコメントを募集していたね。
検討している案では、延べ床面積2000m2未満の住宅を対象に、年間の都内供給量が延べ床面積2万m2以上の住宅メーカーなどを対象にしている。これに当てはまる都内の住宅企業は約50社で、都内の住宅着工戸数4万5000戸のうち半数程度に相当すると見込んでいるね。
住宅会社営業B 結構多いな。うちも対象になりそうだ。注文住宅も分譲住宅も、戸建てもマンションも対象になるのだろう? 1戸当たり100万円かかるといわれる太陽光発電システムの費用負担や、20~30年で寿命を迎えるパネルのリサイクル問題もあるのに、義務化はかなり思い切った政策だな。
A そうだね。今言ったような懸念もあるけど、東京の都心部や下町は、別の問題もあるよ。
B 太陽光発電パネルの設置場所だな。
A そう。戸建てであれば注文住宅であれ、分譲住宅であれ敷地が狭い家が多いからね。都心部に3階建てが多いのは、敷地面積が狭い中で延べ床面積を確保するためだから。そして、10坪にも満たない屋根に載せても十分な発電量を得ることは難しいね。敷地によっては日照の問題もある。屋根に十分な広さがあっても発電に十分な時間の直射日光が当たらない場合もあるね。
B マンションの場合は、別の意味で太陽光発電パネルの設置が難しい部分があるよね。屋根面積に対して戸数が多いから、1戸当たりの発電量は微々たるものになってしまう。太陽光発電設置を積極的に進めている大手マンションディベロッパーもあるけど、共用部の電力供給にとどまっているし、専有部に関しては、再生エネルギー由来電力を導入することで対応しているな。
A 今回の義務化案は、事業者に対するもので、太陽光発電の総量で規制する方法を取っている。年間供給量のうち設置可能な比率と1棟当たりの発電量で義務化する方法を示しているんだ。
B うちの場合は、戸建てもマンションも手掛けているから、計算するのが大変かもしれないな。それに分譲住宅の場合はまだしも、注文住宅の場合はどうするのだろう。お客様の意向もあるし、いくら総量規制といってもお客様に勧めるのは限度があるよね。太陽光発電の押し込み販売のような営業は、今の時代に合わない手法だしね。
A 補助金で負担軽減をするとは思うけど、これもいつまでもできる施策ではないからね。それに都知事が変わったら、政策変更の可能性もある。規制だけ残ると我々営業の立場からは、歓迎できる状態ではないよね。
B そういえば、国が太陽光発電の設置義務化を検討して、断念した経緯があったよね。
A 当時は、今よりも環境や電力不足に対する不安が少ない時代だったので、負担増加や様々な問題のほうを重視したのだと思うよ。
ここまで割と批判的なことばかり言ったけど、個人的には太陽光発電の設置は進めていくべきだと思っている。戸建てでもマンションでも条件がきちんと整っていれば、メリットも大きいからね。条件に合うお客様には積極的に勧めているよ。
B 太陽光発電に関しては、一律の義務化という部分で問題が大きいよね。省エネ基準の義務化の場合も、建築時のコストアップ要因や中小への支援措置の必要性などが指摘されているけど、きちんと施工すれば冷暖房効率のアップや結露防止など目に見える効果があるからね。
太陽光発電の場合、設置はきちんとできても、屋根面積や日照の確保といった、改善が難しい部分で効果を発揮しないケースもある。そこが省エネ基準の義務化とは大きな違いだよね。
A それが一番厄介な部分だよ。意味のないものをお客様に勧めると、後々トラブルになってしまう。これからの都の太陽光発電義務化の行方は、注目しているよ。
まあ、義務化するにしても、規制の方法はもう少し我々営業現場に優しいものにしてもらいたいというのが、偽らざる本音だね。






















