ニュースが分かる! Q&A マンションのEV充電導入が本格化 課題は費用、合意形成促す工夫も
住宅新報 2022年5月17日 号 14面
連載: ニュースが分かる!Q&A
孫娘 ねえ、おじいちゃん。ちょっと教えて。
祖父 なんじゃい。学校の自由研究か。
孫娘 最近、隣町のマンションでエレベーターの充電ができるようになったそうなんだけれど、あれって充電で動かしていたの? というか充電できないエレベーターは何で動いているの?
祖父 あのな。そのEVはな、エレクトリック・ビークルつまり電気自動車という意味だ。
孫娘 なあんだ。普通EVといえばエレベーターじゃないの、紛らわしいわね。
祖父 いや、最近は電気自動車のほうが一般的だと思うぞ。不動産屋の娘らしく、物件用語の知識が豊富なのは頼もしいが。
孫娘 MBはメガバイトではなくメーターボックス、PSはゲーム機ではなくパイプスペースと毎回読むわよ。
祖父 ……おまえ、ほんとに小学生か?
孫娘 それはさておき、既存マンションに電気自動車の充電設備を導入するというのは珍しいわね。
祖父 確かにな。おまえが言っとるのは、ユビ電のEV充電設備サービス「WeCharge」を駐車場全13区画に導入した「ティーエイチスクエア新子安」だろう。ワシの知る限り、特に既存マンションではEV充電器の導入事例はまだ希少なはずだ。
孫娘 そうよね。まだ国内では台数の少ない電気自動車の専用設備だもん。管理組合で費用を負担するなんて、利用しない区分所有者にとっては抵抗があるし、合意形成ができるとは思えないわ。
祖父 そこまで知っていて、なぜEVの意味を誤解するのか分からんわい。
孫娘 それくらい、そっちのEVはまだマイナーってことじゃないの。台数が少ないから充電器が増えない、充電器が少ないから台数も増えない……難しいわよね。
祖父 もっともだ。特に、マンションで導入しにくいのがネックだな。国内の住宅の4割が共同住宅なのに、EV購入者の9割は戸建て住まいだという話だ。しかし、最近はその様子がずいぶん変わってきたようだぞ。マンションディベロッパー大手の大京は5月6日、今後開発する分譲マンションの駐車区画数の50%に、さっき話したユビ電のEV充電設備を導入すると発表している。残りの区画も後から増設可能な空配管を設置するから、将来的には全区画で充電できるようになるという話だ。
孫娘 大手が本腰を入れるとインパクトが大きいわね。
祖父 それに、首都圏中心に150棟以上の既存マンションにEV充電器スタンドを提供しているユアスタンドも、この2月に新築でのサービス提供を開始したそうだ。これからは、EVを充電できるマンションが一般的になっていく予感がするぞい。
孫娘 でも新築は最初からそういう物件だと知って買うからいいとして、問題は既存マンションじゃないの? 結局のところ耐震性や省エネ性能と同じで、今後の物件が対応するだけじゃなくて、たくさんある既存物件で対応が進まないと全体としてはあんまり増えないもの。
祖父 うむ。やはり課題は既存物件、特に導入費用の問題じゃのう。そこでな。海外でもEV関連事業の実績を持つテラモーターズは、4月にその解決に向けた事業を打ち出しておる。EVコンセントとその利用システムを合わせたサービスの「テラチャージ」を、既存マンションに対しては原則無料で導入可能としたんじゃ。
孫娘 それじゃもうからないじゃない。
祖父 まずその反応かい。おまえの母ちゃんの影響かのう……。いや、導入だけなら赤字だが、使用した人がちゃんとサービス利用料を払う仕組みになっとる。まあ先行投資は大きいだろうが、この先EV台数と利用者が増えると見込んでの戦略じゃろう。初年度だけで全国1000棟での設置を目指していて、サービス開始後すぐに北海道の賃貸マンションで第1弾の導入が決まったと聞いておるぞ。
孫娘 そうか。受益者負担の仕組みにすれば管理組合としても合意形成のハードルが格段に下がるし、1棟賃貸物件のオーナーも気軽に導入できるものね。結局のところ、エンドさんにしっかり納得してもらいながら新築で積極的に導入していくことと、既存における費用の課題を解消することが、EV充電器の普及に向けた両輪ということね。
祖父 うまいこと言うのう……。






















