「まちなかウォーカブル」が進展する公共空間 充実する都市の日常性 一般財団法人日本不動産研究所 ニューノーマル最前線 不動産の〝変〟と〝不変〟 第47回 名古屋市
住宅新報 2022年4月12日 号 12面
連載: ニューノーマル最前線
コロナ禍で在宅勤務・オンライン授業・宅配購入等が普及し、ウェブ上の活動が急速に日常化し、コミュニケーションのあり方に変化が起きている。移動・交流が制限される中、リアルの大切さが再認識されている。本稿では、名古屋市がコロナ禍前から計画し導入を図っていた公共空間を活用した「まちなかウォーカブル」を紹介することにより、都市生活のニューノーマルを展望する。
【道路空間】
都市の魅力の本質が交流であるならば、誰もがアクセスできる公共空間は道路であり、「まちなかウォーカブル」の最前線に位置付けられる。
◆オープンカフェ◆ 名古屋市内では、2000年ごろから広幅員道路に面する店舗の前面歩道をテラス席として利用する「オープンカフェ」が実施されている。
20年11月の道路法改正で「歩行者利便増進道路制度(通称「ほこみち制度」)」が創設された。「利便増進誘導地区」に指定された道路区域内では、歩行者の滞留・にぎわい創出が可能になり、カフェやベンチ等の道路占用物の長期間(最長20年)設置が認められることになった。
◆パークレット◆ 歩行者が休憩・飲食するための滞留空間として、道路の一部に設置するベンチ・テーブル等のことである。「ほこみち制度」により、高額な初期投資による空間づくりが可能になり、栄南の中心商業地では、名古屋市の道路拡幅事業との連携で、南伊勢町通に常設型パークレットが設置された。
◆コロナ占用特例◆ 20年6月5日、国土交通省はコロナ禍における沿道飲食店等の道路占有の緩和措置を施行した。感染症対策の暫定的営業に限定し、3密回避等の定着に資する仮設に、商店会等の団体を対象として道路占有を無償で許可する制度である。名駅南地区まちづくり協議会では、飲食店の歩道空間でのテラス営業を導入した。なお、この特例措置は執筆時点で22年9月30日まで適用期間が延長されている。
【公園】
名古屋市は12年6月に公園経営基本方針を策定し、従来のハード整備中心のスタンスを改め、利用者志向の尊重・規制緩和等による利活用重視の発想による「活かし育てる」経営重視に転換した。
◆パークPFI◆ 17年5月の都市公園法改正により、民間が財源等を主導するPFI手法が制度化された。公募条件として収益用公園施設の設置基準を緩和することで民間主導のサービスを市民に還元することが可能になった。
◆シェアサイクルポート◆ 自転車のシェア(共有)により、いつでも自転車を借りて目的地周辺で返却できるサービスが普及しつつある。駐輪公害の解消と利便性向上を両立させる仕組みで、利用者が会員登録することで自転車を自由に借りることができる。名古屋市ではシェアサイクルポートを道路や公園に設置する計画が進行している。
【これからの展望】
コロナ禍前の公共空間利活用は、もっぱらイベント中心の集客効果に依存していた。コロナ禍で自らの生活への関心が高まり、これからは日常性の充実を目指す活動が中心になりそうである。
(東海支社/不動産鑑定士・恒川雅至)


























