国の重要伝統的建造物群保存地区 「まちごと」シェアオフィスに 一般財団法人日本不動産研究所 ニューノーマル最前線 不動産の〝変〟と〝不変〟 第44回 岐阜県美濃市
住宅新報 2022年3月22日 号 18面
連載: ニューノーマル最前線
日本の中央に位置する岐阜県、その岐阜県のほぼ中央に位置する美濃市は、清流・長良川の水源や緑濃い山々など豊かな自然に囲まれた町で、1606年頃には現在見られるような城下町に整備された。美濃市の魅力は自然だけではない。和紙の原料となる良質な楮(こうぞ)が多く取れたことから、1300年以上も前から、美濃和紙と呼ばれる滑らかで美しく丈夫な和紙が盛んに作られるようになった。1985年には国から伝統工芸品に指定され、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会において美濃手すき和紙が入賞者の表彰状に使用されたことは記憶に新しい。
また美濃市は、江戸時代から明治・大正時代の歴史的建造物が立ち並ぶ、うだつの上がる町並みがあることでも知られている。うだつとは、屋根の両端に造られた防火壁のことである。もともとは火事の際、隣家からの延焼を防ぐ目的で造られていたのだが、徐々に装飾的な意味合いを持つようになり、当時の商家たちが富の象徴として競って豪華なうだつを上げたということである。1999年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、現在も多くの観光客が訪れている。美濃市は名古屋市、岐阜市から1時間以内と交通の便もよく、豊かな自然と伝統文化が薫る魅力を味わえる町である。
その美濃市に21年7月31日にオープンしたのが、「まちごとシェアオフィス WASITA MINO」である。「岐阜県サテライトオフィス誘致推薦補助金」を利用して立ち上げたもので、酒蔵の従業員住宅だった築約150年の長屋をリノベーションしてシェアオフィスとした。梁(はり)や柱など古材の骨組みを残した吹き抜けが印象的である。地域住民の協力も得て、伝統を大切にしながらも新しい働き方、暮らし方に適合した施設に生まれ変わった。























