世界有数のメーカーが本拠を構える企業城下町 過度な依存から脱却を 一般財団法人日本不動産研究所 ニューノーマル最前線 不動産の〝変〟と〝不変〟 第42回 大阪府門真市、守口市
住宅新報 2022年3月8日 号 18面
連載: ニューノーマル最前線
企業城下町を有する自治体は、その財源の多くを中核企業からの税収に依存しているため、中核企業の業績は、地方行政に大きな影響を与えることになる。中核企業と共に自治体が衰退した例は多く、石炭産業に依存した夕張市、製鉄業に依存した北九州市などが典型例であろう。
大阪府内にも、パナソニック関連の企業が集積する門真市、守口市、ダイハツ関連の企業が集積する池田市など、複数の企業城下町が存在する。
ものづくりの衰退 企業側の構造改革
日本のものづくりの中核を担う電気・自動車産業は、長らく国際競争力を維持してきたが、この20年ほどの間に、電気産業は韓国や中国のメーカーとの競争にさらされ、自動車産業についても、電動化・自動化・コネクテッド化を中心とする100年に一度の変革期を迎えようとしている。
門真市、守口市にはパナソニックのほかにも三洋電機が存在したが、三洋電機は経営悪化により事実上消滅した。また、パナソニックについても、下請け企業への依存度が高い完成品メーカーから、下請け企業の関与度が低いデバイスメーカーとしての色彩が強くなったため、企業城下町の衰退が顕著である。
現在、パナソニックは競争力と成長力の回復を目指し、自らの存続を懸けて構造改革を実施しているが、そこから切り離された街、人、産業、文化はどうしたらよいのであろうか。このようなときこそ、地方行政や地方議会がリーダーシップを発揮することが期待される。
企業城下町における自治体の産業政策は、「中核企業依存体質からの脱却を指向する政策」と「中核企業との共栄を指向する政策」に大別される。政策の方向を定める際には、中核企業の競争力や成長性、中核企業と下請け企業との関連性などが考慮されるが、この点、パナソニックは、依然として高い競争力と成長分野への積極投資を実行している超優良企業である。また、かつてほどではないが、依然として多くの下請け企業と関係し、地域経済に大きな影響力を有している。
将来を見据えて 共栄とは別の道を
この状況から導き出される政策は、「中核企業との共栄を指向する政策」になると思われるが、将来を考えると、中核企業に過度に依存する構造は好ましくない。したがって、当面は中核企業を支援し、中核企業との共栄を指向するが、将来を見据え、地域を豊かにする別の柱を構築する必要がある。
門真市、守口市は大阪市という大都市に近接し、鉄道や自動車専用道などの交通網が整備されている。また、巨大地震による津波被害を受けにくく、産業構造の変化に伴い用途転換が図られる工場用地が多い。これらの特徴を生かし、新たな施設や産業を誘致して昼間人口を増やすと同時に、住民が穏やかに暮らすことができる施策を進めることが必要であろう。
(近畿支社/不動産鑑定士・小川兵衛)
























