不動産市場異聞 大東建託賃貸未来研究所・AIDXラボ所長 麗澤大学経済学部客員教授 宗 健 第55回 都道府県ランキングの功罪
住宅新報 2021年11月9日 号 7面
連載: 不動産市場異聞
最近では地域ランキングの種類も多くなり、一部の都道府県ランキングの結果については、評価された側からの反論や批判もあるようだ。また、ランキングだけではなく都道府県を単位とした集計や分析も多い。
しかし、都道府県という単位はランキングや集計、分析の単位としては少し広すぎるのではないだろうか。そして最下位まで発表することに意味があるのだろうか。
都道府県の中でも違う
さまざまな都道府県に関するランキングや分析があるが、大きく分けると非居住者が評価する都道府県ランキングと、居住者アンケートをベースとした都道府県単位の分析の2種類がある。
前者は居住していない都道府県に対するイメージを集計したりするものだが、住みたい街ランキングと同じで質問された都道府県について良く知っているとは限らず、なんとなく知っていることやイメージで回答することが多くなる。そうしたイメージ評価自体に意味が無いとは言わないが、住みたい街ランキングと同じで知名度が高くイメージされやすい都道府県は大都市か観光地を抱える場所が多い。そのためこうしたランキングでは上位以外の順位にはあまり意味があるとは思えない。
更に、居住者を対象とした分析では、都道府県内での違いが吸収できないという大きな問題がある。例えば、福岡県でも福岡市と北九州市は様々な面でかなり違いがあり、福岡市と中山間地域の郡部では居住者の意識も全く違う。
基本単位は区市町村
北海道などは札幌市周辺と例えばオホーツク地方の紋別市では、おかれている環境も住民の意識も相当違い北海道という区分でくくることがそもそも適切ではない。
そうした居住者を対象とした分析の基本単位は区市町村にすべきで、都道府県という単位で集計すべきでないケースが多い。
例えば、ある集計を行ったとしても、秋田県と福岡県の違い以上に、秋田県内の秋田市と藤里町の違いのほうが大きい可能性があり、秋田県と福岡県の違いよりも藤里町とより近い傾向を持つ福岡県の町がある可能性があるのである。
そうした意味では、都道府県単位の比較やランキングは、むしろ県庁所在地の比較として捉えるべきだろうし、集計する側も県庁所在地を単位とすべきだろう。しかも、調査のやり方次第では、回答者の居住している区市町村が偏っていることでのバイアスが生まれる可能性もある。
最下位と言われたら
都道府県ランキングに限らないが、様々なランキングで一番の課題は、どこまで順位を発表するか、という点だろう。都道府県ランキングの多くは、都道府県が47しかないこともあって全順位を公表することが一般的なようだが、例えば40位以下について順位や数値は発表せず、都道府県からの問い合わせには詳細を回答する、といったやり方も検討されるべきだろう。あなたの住んでいる都道府県は最下位です、と名指しされても嬉しい人はいないはずで、せめて下位ですけど最下位かどうかは公表していません、といった配慮があってしかるべきではないだろうか。
ゴルフでも日本独特の慣習として、最下位ではなく最下位から2番目にブービー賞を贈ることが定着しているが、そうした奥ゆかしさがあってもよいのではないだろうか。
そうたけし‥87年九州工業大学卒、リクルート入社。リクルートフォレントインシュア社長、リクルート住まい研究所長を経て現職。筑波大学博士(社会工学)・ITストラテジスト
























