開港から450年を迎えた重要港湾 文化・歴史育んだ海の玄関口 一般財団法人日本不動産研究所 ニューノーマル最前線 不動産の〝変〟と〝不変〟 第25回 長崎県・長崎港
住宅新報 2021年11月2日 号 14面
連載: ニューノーマル最前線
「長崎」の地名の由来は諸説あるが、長崎市立山周辺から旧長崎県庁のある江戸町へ港に向かって突き出た「長い岬(崎)(みさき)」を含む土地だったとする説がある。岬の突端にある人工の島が「出島」である。
21年、長崎港は1571(元亀2)年の開港から450年を迎えた。ポルトガル貿易船が初めて入り、日本初のキリシタン大名・大村純忠によって6つの町(島原町・大村町・平戸町・横瀬浦町・外浦町・文知町)が造られたとされる。鎖国時代には、わが国唯一の外国との窓口として最も重要な港となり、海外からの物資や文化はすべて長崎を通じてわが国にもたらされた。明治以降は、上海航路をはじめとして外国航路の連絡船が寄港する歴史ある貿易港として発展してきた。
いまだ収束のめどが立たない新型コロナウイルス感染症の大流行は、人々の生活を一変させた。長崎県や長崎市などが4月27日、開港450周年記念式典を開いたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって無観客の開催となった。
コロナ禍による国内外の人の移動制限は、観光業にも大きな影響を与えている。「長崎港松が枝国際ターミナル」は国際クルーズ客船が寄港するターミナルビルとして10年に整備された。長崎港におけるクルーズ客船寄港数は19年には、那覇港、博多港、横浜港に次ぐ年間約180回となったが、新型コロナウイルスの感染が拡大した20年4月を最後に、クルーズ客船の入港はない(21年1月時点)。
長崎県は佐賀県と接するほかはすべて海に囲まれている。長崎県の海岸線の総延長は4195キロで、北海道に次いで全国2位(北方領土を除くと第1位)。また、長崎県は対馬、壱岐、五島列島など、島の数は971島(海岸線の長さが100メートル以上の島)あり、全国の約14%を占め、第1位となっている。「長崎港ターミナル」は離島の人々などが利用する海の玄関口となっている。長崎~五島列島、長崎~伊王島・高島などの航路があり、コロナ下にある現在においても変わらず離島の人々にとって必要不可欠な公共交通手段となっている。
さるいて出会う長崎
長崎開港450周年記念事業は22年3月まで実施される。コロナ禍も反映して、スマホ片手に参加できる非接触型のデジタルスタンプラリーが実施中である。長崎水辺の森公園など長崎港を中心に、15スポットを巡ると参加賞がもらえるイベントがある。
まちをぶらぶら歩くという意味で「さるく」という長崎弁がある。長崎は、古くから人と人とをつなぎ、独自の文化や歴史を育んできた。コロナ下において、感染拡大に最大の注意を払いつつも、「さるく」を通した地元ガイドさんによる文化・歴史の伝承が続いている。伝え方や接し方は変わっても、人や文化などを広く受け入れ、新たな出会いや文化の融合を創発する開国精神に変わりはない。
(長崎支所/不動産鑑定士・工藤健夫)


























