明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第404回 景観を考慮したカフェ 伝統建築と米発コンテンツ融合
住宅新報 2021年10月12日 号 4面
【学生の目】
埼玉県西部の川越市は歴史的な街並みが残り、小江戸と呼ばれる。新河岸川や川越街道でつながる江戸から文化、学問、芸能などが入り込んだ歴史がある。新河岸川の舟運で商業が発展したことが良質な建築の供給につながり、長期利用可能なストックが集積した。
関東を中心に訪日観光客も訪れる観光都市だが、歴史的な街並みの大切さに早くから気付き、長い時間をかけて維持、保全の努力を重ねてきた。地価が急騰し、開発圧力が高かった昭和末期の1988(昭和63)年に市は都市景観条例を策定し、04(平成16)年の景観法制定を受けて14(平成26)年に新たに景観条例と景観計画を施行した。現在は、市域全体を都市景観誘導地区と都市景観形成地区に指定している。
川越の街で見慣れたロゴを見つけた(写真)。都市部でよく見かけ、誰もが一度は入る米国発のカフェのチェーン店。オリジナルのロゴとカラーはすっかりなじみで、どんなビルに入っていても、それと気付く強力な〝サイン〟となっている。通常はどんな建築の中にあるかは気付かず、カフェの存在を示す看板が目に付くところだが、ここでは建築がまず目に入り、よく見るとカフェの存在に気付く。建築と店舗のコラボレーションに新鮮さを覚えた。
第1の理由は、建築の重厚感である。道路近くにあって目につきやすい1、2階の軒の鼻隠しが太くて強いことに加え、最高部の棟瓦に重量感がある。
第2に、構造的なチャレンジである。木造在来工法は耐震性に劣り、重い瓦を使う場合はこの問題が大きい。しかし、1階の開口部がゲートのように大きく開いている。鉄骨等で補強していると思うがそれを感じさせず、客を大きく迎え入れる造りとなっている。
第3に、店の造作だ。重厚で大きなゲート(建物)と呼応し、それと直角方向に太いカウンターが店の奥に長く伸びている。来客を優しく誘い込む造りとなっている。
調べるとこの場所は、都市景観形成地区の中心部で、伝統的建造物群保存地区でもある。景観形成や街並み保存の観点では何重もの仕組みが重なる場所である。所構わず目立つことを目的とした〝サイン〟が、ここでは所に構っている。米国発のコンテンツと日本の伝統建築が協調して新たな価値を創り出していて、日本人も訪日観光客もハッとする新鮮さがある。
【教員のコメント】
英米法では建物は土地所有権に含まれ、〝盛り上がった土地〟である。土を多用する土蔵造りに共通性があり、遺産として建物を使い続ける文化が日本で広がりつつある。デザイナーのほか、所有と利用、経営と管理など不動産の仕組みも重要だ。
























