プロ野球チームと共に開発が進む街 ウィズコロナ時代の〝開拓〟 一般財団法人日本不動産研究所 ニューノーマル最前線 不動産の〝変〟と〝不変〟 第19回 北海道北広島市
住宅新報 2021年9月21日 号 20面
連載: ニューノーマル最前線
札幌市と新千歳空港の間に位置する北広島市は1884(明治17)年に広島県人25戸103人の入植により開拓が始まった。また、広島県人による開拓が始まる前の1877(明治10)年に北海道開拓史に大きな功績を果たしたクラーク博士が札幌農学校(現北海道大学)を去りアメリカへ帰国する際、教え子たちに「青年よ、大志を抱け」という言葉を残し別れの舞台となった地として有名である。
現在の北広島市は、人口約197万人を擁する道内最大都市である札幌市に隣接する立地特性から札幌市のベッドタウンとしての性格を有する。また国道36号・274号、道央自動車道北広島インターチェンジ等の高速交通網の整備により札幌市中心部および新千歳空港まで車でそれぞれ30分程度、苫小牧港・小樽港まで車でそれぞれ40分程度の交通アクセスの優位性を生かして工業団地の誘致に積極的に取り組んでいる。
こうした立地特性と交通アクセスの優位性を背景とした住宅団地や工業団地の開発・造成による住宅整備と企業誘致の結果、広島県人の入植から約137年を経た21(令和3)年7月末時点の北広島市は人口5万7893人、世帯数2万8077世帯を擁する都市へと発展を遂げている。
しかしながら北広島市の直近20年間の人口推移は07(平成19)年をピークに横ばいから微減傾向をたどっており、多くの北海道内の市町村と同様に高齢化と人口減少の波が急速に押し寄せている。
上向く地価
高齢化・人口減少の波に直面している北広島市ではあるが、コロナ下の21(令和3)年1月時点での地価公示価格の用途別対前年平均変動率(カッコ内は全道平均変動率)は住宅地がプラス9.1%(プラス1.5%)、商業地がプラス10.7%(プラス0.6%)、工業地がプラス4.9%(プラス1.0%)、全用途平均がプラス9.1%(プラス1.2%)と北海道内の地価変動と異なる傾向を示している。それは今、北広島市で行われている開発事業を背景としたものである。
18(平成30)年3月、北海道に拠点を置くプロ野球球団の北海道日本ハムファイターズは、北広島市内の「きたひろしま総合運動公園」予定地を新球場建設地に決定した。そして今、コロナ下という逆風の中ではあるが、北広島市内では「世界がまだ見ぬ街へ。」をコンセプトに新球場だけでなく新球場を核として周辺部で商業施設や住宅施設等の新球場・商業地・住宅地を一体的に捉えた大規模な開発が進められている。
また、廃線のニュースが後を絶たない北海道内にあって20(令和2)年7月にはJR千歳線「上野幌」駅と「北広島」駅の間に(仮称)「北海道ボールパーク」駅の28(令和10)年開業に向けた請願が北広島市よりなされた。加えて、JR「北広島」駅西口では21(令和3)年3月に民間ディベロッパーとパートナー協定を締結し、「北広島」駅西口周辺エリア整備計画を策定した。
ワクチン接種が進むものの、いまだ新型コロナウイルス感染症の収束時期が見えない社会・経済下ではあるが、わずか25戸103人の広島県人の入植により開拓が始まった北広島市では、クラーク博士の言葉を胸に「変わらぬ」開拓者精神の下、コロナ禍という逆風の中でも揺るがぬ不動産開発により急速な高齢化・人口減少という時代の「変化」に合わせて、新たな人流形成を目指した街づくりが行われている。「世界がまだ見ぬ街へ。」をスローガンに掲げる北広島市の街づくりをウィズコロナ時代の「令和の開拓」として引き続き注視していきたい。
(北海道支社/不動産鑑定士・石川勝利)
























