ニュースが分かる! Q&A 施行迫る「改正電子帳簿保存法」 紙からデジタルに〝寄せていく〟
住宅新報 2021年9月21日 号 20面
連載: ニュースが分かる!Q&A
友人A いよいよ、デジタル庁が発足した。職員の3分の1は民間出身だそう。政策に新しい風が吹き、DXが推進される。他省庁への勧告権を持ち、縦割り行政を〝デジタル化〟で崩せるのかな。
友人B 企業では会議や商談、各種手続きで、オンライン化が急速に進んでいる。在宅勤務では、不具合があっても自分で調べて解決しなければならない場面が多く、パソコンの各機能に少しは詳しくなった気分だ。しかし、一般的には、在宅勤務などのテレワークがあまり普及しない大きな要因として〝紙〟書類の手続きがある。大きな壁だ。
A 業務のデジタル化で残るのは「経理部門」かもな。請求書や見積書、納品書、領収書など、紙の書類がたくさんだ。22年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で、中小企業を含めて経理手続きが大きく変わりそうだがな。
B 法律の話は、何だか難しそうだ。
A 名刺管理アプリ提供のSansan(東京都渋谷区)が請求書を取り扱う全国の企業担当者1000人を対象に8月に行った「電子帳簿保存法に関する意識調査」で、「改正内容まで理解している」回答者はわずか8.8%。受領する「請求書が紙と電子形式で混在している」という回答者は半数超の54.7%に上る。
B 同法改正により、「電子契約サービス」など、電子データで書類を受領した場合は原則、プリントアウトした紙ではなく、電子データで保存しなければならないとか。
A 同法の正式名は、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」で、98年7月に施行された。使い勝手をよくするため、何回も改正を重ねている。各税法で原則として〝紙〟での保存が義務づけられる帳簿書類などで一定の要件を満たすと、特例として電磁的記録(電子データ)で保存できるとし、電子的に授受した取引情報の保存義務などを定めている。
B そもそも「手書き」の書類は関係がないのか。
A 同法で規定する電磁的記録の保存方法は、大きく3つ。自分がパソコンなどで電子的に作成し、そのデータのままに保存する(電子帳簿等保存)、社員の経費精算に使われる領収書など、相手から紙で作成された書類を受け取り画像データで保存する(スキャナ保存)、不動産業界でも普及している電子契約サービスなど、電子的に授受した取引情報をデータで保存する(電子取引)の3種類だな。
B 何を改正したのかな。
A たくさんある。一部を話すと、緩和された点は、「電子帳簿等保存」や「スキャナ保存」を行うためにこれまでは必要だった税務署長の「事前承認制度」が廃止される。これが大きな改正点だ。更に「スキャナ保存」では請求書などを受け取った人がスキャンで読み取る際に「自署」が不要になる。スキャン後、すぐに原本を破棄できる。コストが掛かると懸念された「タイムスタンプ」に代え、電磁的記録を訂正や削除した場合に確認できるクラウドなどのシステムを使えばよくなる。
B 電子契約サービスはどうなるのかな。
A 「電子取引」に該当するから、メールなどでPDFを受信したそのままに保存しておいてもダメなんだ。改ざんなどを防ぐために、現行でも大きく2つの要件を求めている。「真実性の要件」は、タイムスタンプの付与、もしくは、記録事項の訂正や削除が確認できるシステムを使う、または、訂正や削除の防止に関する「事務処理規定」を定めなければならない。「可視性の要件」では、今回の法改正で項目が簡略化されて、「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3つがすぐ分かるように検索機能の確保などが求められる。
B 手続きを簡略化する改正が目立つな。
A 請求書などの紙書類の手続きの電子化が加速しそうだ。先日、同法の改正内容を勉強したくてセミナーを視聴したよ。講師が説明するには、紙と電子の両方の管理では今後、煩雑になっていく。いずれは、ほとんどの手続きがデジタル化されるのだから、今のうちに紙からデジタルへ〝寄せていく〟運用をしたほうがいいそう。経理部門でも業務の場所的な制約が低減されていく。仕事内容に合わせて、業務効率化、生産性向上を果たしつつ、働き方の自由度が高まりそうだ。






















