都心の物流不動産 都市型マルチパーパス倉庫への進化 第6回 ますます求められる汎用性【前編】生き残りの鍵として (株)イーソーコ総合研究所代表取締役 出村亜希子
住宅新報 2021年9月21日 号 3面

出村氏
第1回から第5回にわたり、物流の歴史を追いながら倉庫の使われ方の変遷を見てきました。都市における従来型の倉庫建物は、時代やニーズの変化に合わせて使われ方が変化してきたことをご理解いただけたでしょうか。その変化は今、新築の都市型倉庫誕生へと結実しつつあります。すなわち、汎用性を持った倉庫形式の建物です。
まずは、なぜ倉庫がニーズの変化に対応でき、生き残ることができたのかを考えてみたいと思います。例えば1980年代以降、東京ウォーターフロントとして喧伝(けんでん)された湾岸エリアの倉庫街。その中心となった芝浦一帯はそれ以前、東京港と運河を利用した倉庫適地として認識されており、保管以外の倉庫の使われ方はみじんもありませんでした。
バブル期になると、都市機能を拡大できる土地が求められました。そこで目を付けられたのが芝浦エリアの倉庫街です。一部の倉庫は開発の波の中でマンションへと建て替えられ、生き残った倉庫もディスコなどで使われるものがありました。ディスコブームが去り、アジア諸国からの輸入商品の大量供給に対応できる大規模高機能型物流施設が勃興してくると、従来の倉庫はクリエイティブ層の熱視線を受け、デザイン性の高いオフィスなどにリノベーションされていきます。そして、こうした倉庫が消費者立地に近い物流のデポ(小規模拠点)として、再び物流における役割を果たそうとしています。






















