「所有者不明土地問題 ――土地家屋調査士の関与について」(4) 日本土地家屋調査士会連合会前常任理事 内野篤 土地の相続放棄 境界不明土地は不可
住宅新報 2021年9月7日 号 6面

第3 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(同法律第25号:4月28日公布)(相続土地国庫帰属法)と土地家屋調査士の関与
相続等により取得した土地所有権を国庫に帰属させる制度が創設されました。
この規律は、土地利用の需要の低下や所有者の負担感から、土地の管理の不全化を招いているという問題を背景として、相続等により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることを可能とする制度です。
土地を手放したい者は、法務大臣に対して、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認の申請をすることができますが、どのような状況の土地でもよいわけではありません。次の1から5のいずれかに該当する土地は、申請することができません。また、6から10のいずれにも該当しないことが、承認の要件とされています。
【承認申請をすることができない土地(第2条3項関係)】
1 建物の存する土地
2 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
3 通路その他の他人による使用が予定されている土地として政令で定めるものが含まれる土地
4 土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る)により汚染されている土地
5 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
【承認の要件(第5条1項関係)】
6 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
7 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
8 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
9 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
10 6から9に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの
※政令は現時点で未制定です。
承認申請に係る土地について土地家屋調査士が関与することが不可欠と考えるのが、同表の5です。承認は1筆ごとに行われるため、まず当該土地の筆界が明らかであることを前提とし、その上で所有権その他の権利の存否、帰属又は範囲について判断する必要があると考えるからです。その他,現地調査を必要とする事項についても協力できるものと思います。
承認申請に係る土地の事実の調査は、法務局において行うことが予定されています。事実の調査のうち、実地調査に関する部分において、土地家屋調査士が補助することが考えられます。そのような運用ができれば法務局の負担の軽減等につながるものと思います。
土地家屋調査士は、その専門的知見をもって相続土地国庫帰属制度の円滑な運用に寄与し、所有者不明土地問題の解決に貢献できるものと考えます。
(終わり)






















