就任インタビュー 石田優・国土交通審議官に聞く 「省エネ、既存対策が課題」
住宅新報 2021年9月7日 号 2面

石田優・国土交通審議官
――就任の抱負を。
コロナや自然災害を含め、グリーン社会やデジタルへの対応など、国土交通行政をとりまく環境は大きな変革期を迎えている。変革の先をどう見据えるか。私個人の意識に加え、省を挙げた取り組みが必要という点からも気を引き締めている。
――脱炭素化に向けた住宅政策の方向性について。
国交省の所管では、住宅と交通が2大柱だ。特に住宅・建築物については、断熱性を高める省エネ化と、そこで使うエネルギーをどれだけグリーンにしていくか。どちらかと言えば本省は省エネ対策がメーンとなる。
新築の省エネ対策が具体化に向けて動き出した一方、課題は既存住宅の省エネ性能をいかに向上させるか。年間約80万戸という新設住宅着工に対し、ストックとして5000万戸の住宅が存在する。省エネ化に向けた取り組みの支援に加え、国民や事業者の理解がますます重要になる。電気代だけでなく、ヒートショック問題の解決など住む人の健康に寄与するというメリットも周知が必要だ。
加えて、既存住宅の流通問題もある。中古に手を加えることが将来的な資産価値、売却価格につながるという価値観を根付かせると共に、そういう流通市場へ転換していくことが必要だ。
――防災・減災対策の展望は。
災害をとりまく状況も変化がめまぐるしい。短期的には防災・減災のための「3か年緊急対策」であり、今年度から始まった「5か年加速化対策」。これらを確実に執行することが重要となる。
また、中長期的には、先般の国会で成立した「流域治水」を推進することが重要だ。従来の担当領域ごとの対応ではなく、そこに住む人の「生命・財産を守る」という観点から官民を総動員した総力戦となる。そのためには、様々なプレイヤーの合意、理解がこれまで以上に大事になるはずだ。
コロナ後を見据え、「変わるもの」「戻るもの」の見極めが必要となる。人口減少や高齢化の波に、移動の制限やスマホの普及が加わることでeコマースへの転換が加速するかもしれない。非接触業務や生産性向上という点からDXへの認識が深まったのであれば関係団体等の協力を得て施策を進めていきたい。新たな国土形成計画についても、住民や事業者の10~20年後の姿と密接不可分だ。検討の幅を広げる視点を持ち、試行錯誤しながら取り組んでいく。


























