ニュースが分かる! Q&A なぜ今コンプライアンスか? 不安な時代支える専門家
住宅新報 2021年8月31日 号 14面
連載: ニュースが分かる!Q&A

20年1月に推進センターが開いたコンプライアンスセミナー
新人記者 不動産流通推進センターがコンプライアンスをテーマにしたイベントを継続的に実施していますが、どのような理由があるのでしょうか?
先輩記者 推進センターには「不動産コンサルティングマスター」と「宅建マイスター」という2大資格がある。20年からはこの両資格者に対して「倫理規定」と「誓約書」を整備し、それに違反していないかをチェックする「倫理審査会」も設置した。つまり、資格更新などに際しての倫理要件を厳格化したんだ。
新人 どうしてですか?
先輩 両資格者が国民から真に信頼され、業界のリーダー的存在になるためには単に知識やスキルだけでなく、専門家としての高い倫理性と顧客本位の姿勢を持つことが必要になると考えたからだ。そして、そうした推進センターの考えを理解してもらうために、講演会を開催して啓発活動に力を入れている。
新人 顧客本位の姿勢が必要なことは分かりますが、専門家としての高い倫理性とはどういうことでしょう?
先輩 職業倫理といったほうが分かりやすいかな。自分たちの仕事は何のためにあるのかという広い視点に立って、その上で顧客のために仕事をする。
新人 なるほど。でも、それは昔も今も同じだと思います。なぜ今なのでしょう。
先輩 重要なポイントだね。先日開かれた講演会(動画配信)の冒頭、推進センターの坂本久理事長があいさつの中で、「本格的なストック活用時代になった」と指摘していた。これから流通市場が更に活性化して社会に貢献するためには、そこでの実務を担う専門家が国民の信頼を一層得るようにならなければならないということだと思う。
新人 以前、問題になった〝両手仲介〟はどうなのでしょうか?
先輩 先日の講演会でも議論されていた。両手仲介自体は悪いことではないけれど、そこにもっていくための〝囲い込み〟は依頼者の利益を損ねかねないという整理の仕方だったと思う。
新人 コンプライアンスが重要視されるようになった理由はほかにもありますか?
先輩 国民の不動産に関するニーズや悩み事が多様化、複雑化してきていることがあると思う。例えば不動産を売る、買うといってもそこに至るまでには様々な背景がある。親から相続したものの空き家となっている実家をどうすべきか、家を買いたいと思うが時期的にはどうなのか、住宅ローンを組んでも大丈夫だろうかとか、いろいろあるよね。
新人 だから、安心して相談できる専門家が求められているということですね。
先輩 それから最初に「顧客本位の姿勢を持つ」と言ったけれど、これは口で言うほど簡単ではないよね。というのも宅建士などの資格者といっても会社の従業員だから、会社から命令されたら従わざるを得ないことは多いと思う。宅建士という資格者としては別の方法がよいと思っていてもね。
新人 それだと、いくら職業倫理を重要視しても、しょうがないというか…。
先輩 まあまあ落ち着いて。だから、宅建士やコンサルティングマスターを雇っている不動産会社(経営者)もコンプライアンスを身に付けなくてはだめということだね。会社がそうした意識を持つためには不動産業界全体がそうならなければならない。なぜかというと、経営者の中には自分の会社だけがそんなことをしていたら、他社との競争に負けてしまうと思っている人もいるからね。
新人 業界全体が足並みをそろえて、コンプライアンス重視に向かうにはどうしたらいいのでしょう。
先輩 期待したいのは業界団体の動きだよね。例えば、今年全面施行された賃貸住宅管理業法は、関係する業界団体が法制化に向けて意思を統一したからこそ実現した。業界団体は互いに切磋琢磨することも必要だけど、業界全体のことを考え、一つの方向に向かって力を合わせていくという姿勢もこれからは特に求められることだと思う。






















