都心の物流不動産 都市型マルチパーパス倉庫への進化 第5回 震災契機にBCPが浸透 (株)イーソーコ総合研究所代表取締役 出村亜希子
住宅新報 2021年8月17日 号 3面

出村氏
2011年――。それまで効率化、集約化一辺倒だった物流施設のトレンドに大きな変化が現れます。契機となったのは、東日本大震災でした。
大震災は、私たちが経験したことのない規模の被害と影響を及ぼしました。企業活動においては「BCP(事業継続計画)」という概念が浸透するきっかけとなります。効率化だけを追求した経営の合理化は有事における活動の支障になることが明らかになり、サステナビリティを大事にするようになったのです。
これは重要な社会インフラである物流でも同様でした。それまでは効率化の観点から、大規模なセンターに荷物を集約する取り組みがセオリーでした。人員を含めたリソースを一カ所に集中させて効率化し、コストも時間も減らすというスキームです。ところが、物流網、特に全国的に張り巡らされたバリューチェーンにおいては、一カ所のほころびが全体に影響します。仙台の部品工場が被害を受けたため静岡の自動車工場が操業停止に追い込まれるといった話は、当時よく耳にしたことと思います。物流でも、被災地とは関係のないエリアへ向けた品物が届かないといった事例が数多く発生しました。大規模な災害では、影響は広範に及んでしまうのです。






















