不動産現場での意外な誤解 賃貸借編150 解約予告期間中に次の借主が決まったら?
住宅新報 2021年7月13日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 店舗の解約などで、借主からの解約予告期間中に次の借主が決まることがあります。このような場合に、借主が原状回復を済ませたときは、貸主に対し、約定によって支払っている前払賃料などの返還を求めることはできるのでしょうか。
A 原状回復を済ませただけでは、当然にはできません。しかし、貸主から解約日(契約終了日)の前に次の借主を入居させたいと言ってきたのであれば、その時点で合意解約をすればよいですから、前払賃料等の返還を求めることは可能です。
Q ということは、解約予告期間中はまだ貸主との間の賃貸借契約が存在しているということですね。
A その通りです。したがって、その期間中は仮に原状回復工事が完了していても、その段階ではまだ建物の占有使用権が借主にあるので、借主には賃料等の支払義務はあるが、貸主から、建物を引き渡してくれと言ってきたのであれば、話は別だということです。
Q ところで、今の話は、原状回復の工事を借主側で行う場合ですよね。
A はい。したがって、貸主側で原状回復後工事を行うというのであれば、話し合いによって、その時点で契約を終了させることはできるかもしれませんが、前払賃料等の返還まで求めることができるかどうかは分かりません。なぜなら、貸主側で原状回復工事を行うということになれば、費用負担の問題は別として、それは本来借主側で行うべき義務を免除するということですから、貸主に対し、前払している賃料等の返還を請求できるかどうかは一概に言えないからです。
Q それでは、当事者間に「即時解約」の取り決めがあり、その予告期間分の賃料等を先に借主が支払う場合はどうでしょうか。
A その場合は、借主側で原状回復工事をし、明渡しの準備を完了した上で残りの期間分の賃料等を支払い即時解約をするのが普通です。したがって、すべてが約定に基づく支払ということになります。貸主側で原状回復工事を行い、即時解約をする場合も同じで、当事者間においては、原状回復のための費用負担も含めて解約予告期間分の賃料等の全額を支払い清算した上で即時解約をするわけですから、前払賃料等の返還という問題は生じません。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男






















