アライプロバンス 製造業から不動産業に転身 物流案件で差別化図る
住宅新報 2021年6月1日 号 9面

建築中の浦安市港物流センター
4月下旬、千葉・浦安市の浦安鉄鋼団地内で物流施設「浦安市港物流センター」(仮称)の上棟式が執り行われた。建築主のアライプロバンスは1903(明治36)年から118年続いたグローバルな金属加工メーカー・新井鉄工所から、総合不動産業へと業種転換を行った。同社の総合不動産事業参入への第一号案件が同センターだ。
同社は東京・墨田区で馬の蹄鉄などを手掛ける鍛冶屋、鉄工所を経て、戦時中には大砲や船のスクリューも手掛け、軍需工場と指定された。戦後は金属加工メーカーとして、石油掘削に使用する油井管の継ぎ手を世界中に輸出、米国ヒューストンに支社を配置するなど、グローバルに展開をしてきた。
ところが、1985年のプラザ合意から輸出産業の国際競争力の旗色が変わった。急激な円高と海外の産業保護政策から、部品は現地生産をする流れに移行したことで大きな打撃を受けた同社は事業転換を決断、2016年に工場稼働を終了した。
そこで同社は門外漢だった不動産業への参入を英断、皮切りに同社が所有していた千葉・浦安市と東京・江戸川区の工場をスクラップアンドビルド、新たな物流施設を総額200億円投じて開発する。浦安では敷地面積1万4878平方メートル、4階建て3万4567平方メートルで建築されるマルチテナント型施設、竣工は本年10月末の予定。2号案件は東京・江戸川区の東葛西で敷地面積5万7000平方メートルに2期で開発する計画だ。
物流事業に参入するディベロッパーは年々増加しているが、後発組の同社は6つのユニークなブランディングで仕掛けを考えた。
(1)バス停名称を社名に
新浦安駅からの浦安市港物流センターへのアクセスは東京ベイシティバスがつながる。同社施設前のバス停名称を「アライプロバンス」と命名、ネームバリューのアップと同施設に通う人々への足を確保した。施設竣工時には、緑豊かでスタイリッシュなバス待合所も整備する計画。
(2)大型看板
同社が本社を構えるJR・錦糸町駅前に最大級の社名看板を掲出、新たな錦糸町の名物を狙う。
(3)グッドデザイン賞
国内外で多数の賞を受賞し、最近ではルイ・ヴィトンのポップアップストアの設計を手掛けた建築家・菅原大輔氏を起用、浦安市港物流センター敷地内に「道の庭」「四季の庭」「海の庭」の3つのランドスケープ空間を創る。働く人たちが休憩時にリラックスできる環境づくりを図り、グッドデザイン賞受賞を目指す。
(4)開発中の遊休地を賃貸
2期工事とする江戸川PJ用地は、開発着手前の遊休地を一時使用の賃貸借契約で開放。近隣の運送業者・建設業者・バス会社などに対するアピールと利便性を提供する。
(5)商業施設との融和
江戸川PJ用地と道路を隔てた商業施設(アリオ・島忠)との間で人々が回遊できる施設を検討している。施設内従業員へのホスピタリティ向上になると同社は見る。
(6)自然との親和性
旧江戸川に面した江戸川PJ用地の特性を活かし、物流施設内から直接川辺まで下りることが可能な通路を設け、緑豊かな自然の中で休憩できる空間を作り上げる。
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小回り性がよく効いたユニークな取り組みばかりで、大手デベにはない機動力を垣間見ることができる。同社の今後を見ていきたい。






















