「認知症で判断能力が低下すると、資産が事実上凍結されてしまう。親が認知症になると、子供であっても自由に親が所有している不動産の売却はできなくなる」
4年後の25年には認知症患者が700万人を超えるとの試算もある。どこの家庭にとっても他人事ではない問題だ。
「資産凍結は経済的にもマイナス影響しかない。事前に家族で信託契約を結んでおけばそうしたリスクを回避できる」と活用を促す。信託できる財産の中でも特に不動産は家族信託との親和性があるという。
大手証券会社に10年間勤務した後、賃貸管理会社に創業期メンバーとして入社。07年にはL&Fを設立した。現在、空き家管理の全国ネットワーク「日本空き家サポート」の運営事業を手掛け、約150社が加盟する。近年は加盟する不動産会社、特に管理会社から「物件所有者が認知症になり、リノベーションの提案ができない」「認知症になったオーナーの子供から、物件売却の相談を受けたが、どう対応したらよいのか」などの悩みが多数寄せられるようになった。
そこで、不動産会社が顧客に対して家族信託を活用した資産管理を提案できるようにサポートする仕組み「家族信託の窓口」を立ち上げた。不動産会社は顧客からヒアリングした内容を専用システムに入力すると、その内容に応じてL&Fが家族信託に精通した専門家を紹介する流れだ。
4月から同サービスを利用する不動産会社を募集したところ、1カ月間で60社を超え、関心の高さがうかがえた。
「オーナーや不動産のことは、地域の不動産会社が一番よく理解している。資産凍結を防ぐには、地に足が着いた不動産会社の力は欠かせない」
福岡県出身、52歳。
(井川弘子)



























