開発面積16万m2超の大規模再開発 近場のレジャーに期待感 一般財団法人日本不動産研究所 ニューノーマル最前線 不動産の〝変〟と〝不変〟 第2回 神奈川・遊園跡地
住宅新報 2021年5月18日 号 12面
連載: ニューノーマル最前線
新型コロナウイルス蔓延(まんえん)によるニューノーマルの時代を迎えた今、リモートワークや在宅勤務の浸透により、個々の生活様式に大きな変化が起きている。余暇の過ごし方やレジャースタイルもコロナに感染しない配慮あるスタイルが求められている。最近、マイクロツーリズムという言葉を耳にするが、近場で行える車やキャンピングカーを使った旅行などが推奨されている。
そうしたニューノーマルの中で、川崎市多摩区長尾二丁目に立地する向ヶ丘遊園跡地の再開発が注目されている。11年9月に「藤子・F不二雄ミュージアム」が開館し、その後、未利用の状態が続いていたが、小田急電鉄による再開発が決定し、23年度の竣工を目指して計画が進んでいる。
向ヶ丘遊園跡地利用計画に係る条例環境影響評価準備書の概要によると、開発面積は16万2400m2で、商業施設エリア約3万1800m2、温浴施設エリア約2万8600m2、自然体験エリア3万9500m2で構成される一大ゾーンとなる。
商業施設エリアは、森の中に分棟で地上1~3階の商業施設が配置されて、おしゃれで心地よいストリートがつくられる予定だ。買い物や飲食等をゆっくりとくつろぎながら楽しめる広場空間を設け、ちょっとした非日常感のある施設を展開し、生田緑地やその周辺に不足する飲食業態を中心とする、ショッピングモールの開発となる。
温浴施設エリアは、緑に囲まれた環境の中で、伝統的な温泉旅館を連想させる日本家屋型式の温泉施設が展開される。地上1~2階・地下1階の温浴施設を設け、露天風呂・貸し切り個室・多様な機能を備えた規模感のある着衣サウナなど、施設規模や機能面で全国有数の温浴施設を目指すことで、高い集客力が見込まれる。
自然体験エリアは、地上1階建てのアウトドア系施設やグリーンショップ等の導入により、豊かな自然を体験できる中核エリアとなる。アウトドア系施設には、グランピングを含めたキャンプ等の宿泊機能を計画するほか、他エリアとも連携した特徴あるイベントを実施し、憩いと楽しさの両立を目指す構想だ。
良好なアクセス
向ヶ丘遊園跡地は、小田急線「向ヶ丘遊園」駅から1.1キロ、JR南武線等の「登戸」駅から1.3キロに位置する。また、東名高速道路「川崎IC」から車で15分の府中街道に接しているため、首都圏各地からのアクセスが良好だ。跡地の西側にはバラ園が隣接し、更にその西には日本民家園・かわさき宙と緑の科学館・岡本太郎美術館が存する生田緑地があり、これら既存の緑地と一体となって、生田緑地の更なる発展を支えることになる。
ニューノーマル時代にマッチした向ヶ丘遊園跡地の再開発は、川崎市民をはじめとする首都圏の人々にとっての身近なレジャーやちょっとした非日常を味わえる特別な空間となる。多くの人々に愛され、多くの思い出を生んだ向ヶ丘遊園の役割を継承しつつ、生田緑地に新たな付加価値を提供することが期待されている。
(横浜支所/不動産鑑定士・鈴木憲一)
























