点検 不動産利活用 持続可能社会への取り組み 一般財団法人 日本不動産研究所 第44回 40ヘクタールの草津川跡地を整備する 滋賀県草津市 生まれ変わる「天井川」
住宅新報 2021年3月23日 号 18面
連載: 点検 不動産利活用
滋賀県草津市は、JR草津駅・南草津駅周辺の著しい発展もあり、滋賀県の中でも住みたい街として最も人気が高く、人口も増加傾向にある。
草津駅から商店街を抜けた草津川跡地に、17年4月に草津川跡地公園がオープンした。旧草津川は、「天井川」としてかつては周辺よりも高いところを流れていたが、防災のために02年に新河川(現在の草津川)への切り替えが行われ、旧草津川は廃川となった。
草津市は、旧草津川の新河川への切り替えをきっかけに、市を南北に分断していた旧草津川の約7キロ(幅60~110メートル・面積約40ヘクタール)の河川跡地の利活用の検討を進めることとなった。
基本構想では、約7キロもある草津川跡地を3つのゾーンと6つの区間に分けた。隣接市である栗東市から中心市街地であるJR線までの区間をAゾーン(区間(5)・(6))としてにぎわいのある歴史的な空間の利用、JR線から浜街道までの中心市街地をBゾーン(区間(3)・(4))とし、市民に身近な生活空間としての利用、浜街道から琵琶湖岸までの市街化調整区域が広がる区間をCゾーン(区間(1)・(2))とし、潤いのある自然を生かした空間としての利用が、それぞれ想定され、その実現に向け、順次整備が進行している。
現在利活用が進んでいるのは、上記草津川跡地公園の区間(5)(de愛ひろば)と区間(2)(ai彩ひろば)の2区間であり、区間(5)は草津駅から徒歩6分ほどのエリアで、後背人口も多く、レストランやホットヨガスタジオの店舗も配置した広大な公園として整備を行った。また、駅からの高低差を生かした展望デッキやエレベーターを配置し、家族連れや、ウォーキングを楽しむ方も多く、後背人口を生かした駅に近い都市公園となっている。
また、区間(2)は草津市のやや郊外に位置し、のどかな農園に囲まれている公園として整備した。遊具を配置した広々とした多目的広場や農園、バーベキュー施設、カフェ等が配置されており、「農と人との共生」のテーマの通りの施設となっている。
立地や形状が課題
駅に近く、後背人口も多い区間(5)のような開発は民間事業者の募集もしやすく、防災拠点としての活用もできる一方で、区間(2)のように駅から遠い区間ほど事業者の募集も困難となってくる。また、草津川跡地は40ヘクタールの広大な帯状地で、市街地とは高低差もあることから、利活用の用途が限定される土地のため、今後も順調に事業が進むかが課題であるが、魅力ある街であり続ける限りは民間事業者の募集もしやすいと考える。
草津市が都市の魅力ある姿として目指す「元気とうるおいのある生活交流都市の創造」といったビジョンを具現化し、また、いつまでも草津市が住みやすく、住み続けたい街であるための施策として、今後も、住民意向を取り入れ、住民生活に寄り添いながら草津川跡地が整備され、住民コミュニティの場としてますます生かされることが期待される。
(大津支所、不動産鑑定士・芦川直樹)


























