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スタンダード会員限定国交省と学生が意見交換 東京集中是正を考える 「国土の長期展望」検討の一環で

住宅新報 2021年3月16日 号 2面

政策
学生と国交省職員によるオンライン意見交換会の様子

学生と国交省職員によるオンライン意見交換会の様子

 意見交換会に参加したのは、東京大学、東洋大学、長崎大学の学生計10人。今回の意見交換会の背景には、東京に人口が集中する要因の一つに、修学や就職などで若い世代が転入するケースが多いという実態がある。そこで学生自身に、東京集中是正に向けた今後の方向性を考えてもらうと共に、本人の意向や周囲の動向などについてもヒアリングを行うという趣旨だ。

 当日はまず、学生たちが「東京一極集中是正の方向性」について自分たちで考察し、プレゼンテーションを行った。

 東京大学の学生は、「オンラインでの新たな形の交流」をテーマに発表。コロナ禍により住まい方や働き方の多様化が進む中、「オンライン交流の持つ可能性が東京に住む優位性を上回れば、人口集中の解消につながるのでは」との仮説を述べた。

 東洋大学の学生は「新型コロナによる観光の変化」に着目。近場を観光する〝マイクロツーリズム〟の拡大により、若者が自分の住む地域への理解や愛着を深めるほか、関係人口の増大にもつながり、転出を抑える方向に作用する可能性を示した。

 長崎大学の学生が取り組んだのは、コロナ禍による「地方大学生の就職意識の変化」についての調査。参加した学生の1人も、「以前は東京をはじめ都市部を意識していたが、コロナ禍とリモートワークの普及により、家族と近い地元での就職・生活を志向するようになった」と語る。

若い世代の移住に壁

 こうした発表を踏まえ、同省国土政策局の担当者は学生たち自身の考えなどについてヒアリング。都内の学生に東京での就職意向を尋ねると、「東京で働きたいという意識は特にない」との回答は複数あった。一方、「自分が求める仕事内容と暮らし方を実現できる職場が、東京に多いということが課題なのだと思う」との指摘もあり、労働や居住条件の選択から結果的に東京を選ぶという傾向が改めて浮かび上がった。

 また、逆に地方への移住志向については、「移住先の住民の転入者に対する意識に懸念があり、移住には抵抗がある」「就職活動の中で、周囲の友人などが(東京からの)移住の話をすることはほぼない。肌感覚では、移住意識が高まっているとは思えない」との意見が挙がった。個別のケースながら、就職を機会とした東京から地方への移住は、現在も一般的ではない様子がうかがえた。

専門委が「分散型国土」構想示す

 また同専門委員会は意見交換会に先立ち、3月8日に会合を開いて「地域の活性化」を議題として検討を進めた。今夏に予定する「最終取りまとめ」の作成へ向け、多角的な視点を取り入れると共に、議論の深掘りを進める構え。

 同会合では、まず地方圏の現状と課題を整理。農山村では、人口減少や生産者の高齢化などが進む中、コロナ禍により二地域居住やワーケーション等への注目度が高まっていることから、それらに対応するための環境整備が必要だとした。

 また地域の魅力向上へ向け、中心市街地における商店街・コミュニティの再評価と共に、市街地のコンパクト化や交通アクセス向上を図り活性化を促す取り組みを推奨。更に観光や関係人口といった交流・対流の促進に向け、「地域が持つ強みを生かした個性ある地域づくり」の重要性を強調した。

 更に、ポストコロナにおける構想として、「大都市と地方の双方の強みを生かした『分散型の国土構造』」の実現を提唱。国土を「広域ブロック」「地域生活圏」「生活エリア」といった単位に分解し、それぞれの機能と役割を定義して施策を検討していく考え方だ。特に地域生活圏のあり方を重視し、デジタルとリアル空間を有効に組み合わせて圏域の維持・強化を図るという施策の方向性を提案した。

 同専門委員会は3月中に次回会合を開き、「真の豊かさ」についての検討を進める。その後議論の集約を行い、5月ごろを目安に「最終取りまとめ」の素案を提示する予定だ。

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