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スタンダード会員限定不動産市場異聞 大東建託賃貸未来研究所・AIDXラボ所長 麗澤大学AI・ビジネス研究センター客員准教授 宗 健 第38回 宅建業法改正の必要性

住宅新報 2021年3月9日 号 11面

連載: 不動産市場異聞

総合
  • 不動産市場異聞 大東建託賃貸未来研究所・AIDXラボ所長 麗澤大学AI・ビジネス研究センター客員准教授 宗 健 第38回 宅建業法改正の必要性

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  • 不動産市場異聞 大東建託賃貸未来研究所・AIDXラボ所長 麗澤大学AI・ビジネス研究センター客員准教授 宗 健 第38回 宅建業法改正の必要性

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 宅地建物取引業法は、昭和27年に制定されたもので、すでに70年近い時間が経過している。その間の大きな改正といえば、88年から95年にかけての指定流通機構の制度整備くらいしかないが、現在の地方の人口減少による不動産価格・家賃の下落といった社会の変化に適応できているとは言えない。

売買と賃貸は業務内容が全く違う

 宅建業法に基づく国家資格である宅地建物取引士は、合格率が15%程度と低いが、実は、登録者は100万人以上いる。そして、売買と賃貸では、その業務内容は全く異なる。もちろん、取引量も金額も、当事者の意識もまったく違う。

 宅建士は、業務従事者5人につき1人以上を置く義務があるが、売買の取り扱いシェアの3分の2以上を占めている大手不動産流通会社の場合には、実質的に従業員には必須の資格となっている。売買仲介で宅建士資格を持たない従業員が対応することは、ほぼない。そして、各社のコンプライアンスは厳しく、業法違反となるような事例はほとんど見られない。

 一方で、賃貸仲介の現場では、宅建士の資格を保有していない従業員はいまだ多く、コンプライアンス上で〝グレー〟な行為も根絶されているわけではない。

 例えば、「賃貸 アリバイ会社」と検索すると、多数の検索結果が出てくるように、賃貸仲介の現場では、本人確認や就業・収入状況の虚偽申告について、見て見ぬふりをすることもあるようである。そして、何らかの問題を起こして退職した従業員が他社ですぐに働き始める、といったこともあるようである。

 そうした潜在的な問題があるために、賃貸についてはより簡素な資格制度を設け、従業者全員の資格保有を義務付け、生命保険・損害保険業界の募集人情報交換制度のようなものも検討されるべきではないだろうか。

激安物件の増加にどう対応するか

 売買における宅建業法が規定する報酬は、昭和45年の告示から基本的には変わっていないが、19年の改正で売主に対する400万円以下の仲介手数料の上限が18万円に引き上げられた。

 これは、地方や都市郊外で低価格の不動産物件が増加したことに対応したものであるが、重要事項説明書作成のための情報収集や、登記関係の確認・手配のほか、決済の段取りなど多岐にわたる業務に対して、充分な報酬水準とは言えない。例えば、3000万円の物件を両手仲介すれば手数料は192万円となり、その差は大きい。

 今後ますます低価格の物件は増加していき、中高年賃貸世帯がそうした物件を購入することにも社会的意義がある。また、物件の取引価格と業務量は比例しているわけではないから、価格に対する比例部分をもっと少なくするような更なる改正も必要なのではないだろうか。

 また、賃貸物件でも2万円程度の家賃の物件も増加している。売買と違って貸主が事業者であることも考慮して、その位置付けがあいまいな「AD」と呼ばれる広告費を含めて、手数料体系の見直しが検討されるべきだろう。

イノベーションと

消費者保護のバランス

 もともと宅建業法は、戦後の混乱期の不動産取引において悪質な業者による消費者被害を出さないことを目的とした規制が出発点になっている。しかし、そうした消費者被害は現在では、ほとんど無くなっている。

 一方で、ほとんどの物件がネットに掲載され、建物・部屋だけではなく周辺環境も含めて動画や画像での確認も可能になっている。制度的にもIT重説が解禁され、書面の電子化も検討されている。

 そうしたイノベーションを促進するための制度検討もより推進されるべきだろう。

 そうたけし‥87年九州工業大学卒、リクルート入社。リクルートフォレントインシュア社長、リクルート住まい研究所長を経て現職。筑波大学博士(社会工学)・ITストラテジスト

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