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スタンダード会員限定相続法改正と不動産 10回 遺留分侵害額請求権 (中) 全国貸地貸家協会専務理事・耶馬台コーポレーション社長 宮地忠継

住宅新報 2021年3月2日 号 9面

総合
相続法改正と不動産 10回 遺留分侵害額請求権 (中) 全国貸地貸家協会専務理事・耶馬台コーポレーション社長 宮地忠継

遺留分の計算方法 雄二(次男)はすぐその足で駅前のかねて知っている不動産屋の藤田を尋ねた。「自由が丘の家と、都立大学のアパート、緑が丘のアパートの査定書を出してほしい。なるべく高くしてほしい。動かすときはあんたに頼むから」。やがて査定書ができた。自由が丘の家は40坪で1億円、都立大のアパートは7500万円、緑が丘のアパートも7500万円。雄二は相続の計算をしなければならない。父親の相続財産は、遺言の中のものだけではなかった。それ以外にも債券と株式で2000万円ほどあった。雄二はこの2000万円を郁子(長女)と分けた。(民法903条:遺贈、贈与で法定相続分以上貰った人はそれでおしまい。残ったものはそれ以外の人で分ける)

 父親は都立大学のアパートを長男宏に贈与した後死亡した。財産は自由が丘の自宅と、緑が丘のアパート、銀行預金3000万円とその他財産2000万円。遺言書により不動産は両方とも長男宏に遺贈、銀行預金2000万円を郁子に遺贈、銀行預金1000万円を次男雄二に遺贈となった。当然雄二は宏に遺留分を請求する。遺留分の計算の仕方を見よう。もらえなかった人の新しい相続分をまず決める。法定相続分の2分の1だ。相続人は兄弟3人なので、雄二の場合は6分の1になる(旧民法1028条)。この後遺留分計算のための基礎財産に6分の1をかけて、そこからすでに自分が貰った金額を引く(旧民法1029条)。この場合の基礎財産というのは相続財産だけではなく、被相続人が生前に贈与した財産も入る。つまり長男宏が生前に貰った都立大学のアパートも入る。

 よって、本件の基礎財産は、自宅とアパート2軒、雄二と郁子への銀行預金遺贈分3000万円、その他2000万円で総額3億円。雄二の新しい相続分は5000万円で、遺贈されなかった財産2000万円は郁子と分けたのでこれを入れてもうすでに2000万円は貰っているので、遺留分減殺請求権は3000万円となる。こういう計算の時に、藤田に頼んで大きめに出してもらった各物件の査定書が効いてくる。そして雄二はこの3000万円について、まず遺贈された財産、次に贈与された財産にかかっていくことができる(旧民法1033条)。

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