「柊(ひいらぎ)を家の周囲に植えると運がよい」 松岡英雄 新住まいのことわざ(87)
住宅新報 2011年10月18日 号 16面
小さい頃、脱腸という病気を患っていた。手術をすれば治るのだが、戦後間もない我が家にはその費用が工面できなかったらしい。早く治って欲しいと願う母は、3年続けて10月20日の縁日にお参りをすれば病気を治してくださるというえびす様に祈願することを思い立った。
その神社は、電車に乗って行かなければならないような遠い村にあった。果たして、3年通ってしばらくすると病気は治ってしまった。神頼みを、身をもって経験したのである。
鶴岡八幡宮は商売繁盛・縁結び、寒川神社は八方除け・商売繁盛、箱根神社は交通安全・心願成就、神様のご利益にも得手、不得手があるらしい。
昔、合格祈願にと江島神社に娘と初詣をした。3月、結果は散々だった。この時ばかりは弁天様を恨んだが、弁天様は芸能上達の神様だった。
幸運をもたらすことわざをいくつか。
表題の他に『屋敷内の南天の木が軒より高くなると福がある』『石楠花の繁る家は栄える』『家の門に橙の木があればその家は繁盛する』『燕が巣を作るとその家は繁盛する』『鳩が巣を作ると家が繁盛する』。
駅から神社への道を母と手をつないで歩いて行くと、どこからか、きんもくせいが匂ってくる場所があった。少年にはそのシーンが余程印象強く焼きついたらしい。今でも、きんもくせいの香りが漂ってくるとあの日のことを思い出す。
(エッセイスト)






















