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スタンダード会員限定見直される古民家の価値、多様な活用法に需要高まる 地域活性化の切り札に

住宅新報 2021年1月19日 号 1面

総合
  • 築85年の古民家を別荘にリフォームした物件(写真提供:山路工務店。第7回再築大賞 古民家再築部門優秀賞受賞)

    1 / 3築85年の古民家を別荘にリフォームした物件(写真提供:山路工務店。第7回再築大賞 古民家再築部門優秀賞受賞)

  • 五右衛門風呂(写真提供:山路工務店)

    2 / 3五右衛門風呂(写真提供:山路工務店)

  • 三友システムアプレイザル 田井政晴常務執行役員

    3 / 3三友システムアプレイザル 田井政晴常務執行役員

 全国古民家再生協会(東京都港区)では、古民家を「築50年を経過する木造軸組構法で建てられた伝統構法ならびに在来工法の住宅」と定義している。

 古民家の利用方法は、古民家カフェなど飲食店のほか、宿泊施設や別荘、農泊施設(農山漁村滞在型旅行施設)、地域交流拠点、ワーケーション施設などがある。

 また、西湖ワーケーション協議会(山梨県南都留郡富士河口湖町)は20年10月より、観光庁の「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業の第一次採択事業として「古くて新しい、コミンピングで西湖満喫ワーケーションの推進事業」を開始した。

 コミンピングは、古民家とキャンピングを掛け合わせた造語で、自然の中で古民具(囲炉裏、かまど、五右衛門風呂)を使って歴史と文化が体験できるキャンプ場。コミンピングを軸に、西湖の自然を生かしたアウトドアコンテンツ「SUP」「樹海トレイル」「サイクリング」を組み合わせて、観光誘致と地域の空き地・空き家問題の解決を目指している。

 古民家は、わらぶき屋根に古民具など、歴史や古きよき建物の魅力も備えている。古民家の人気について、全国古民家再生協会の河野公宏事務局長は、近年の古民家ブームが背景にあることを挙げつつ、「人気のポイントは様々だが、古民家の大きい木材や日本ならではのわびさびなど、日本人として受け入れやすい建物であることや、近年海外から日本の文化等が注目されていることもその一因だと考えている」と話した。

取引の活発化 自治体との連携

 古民家情報マッチングサイト「古民家住まいる」(住まい教育推進協会運営)では、10年から有料の総合調査(建築士による耐震診断・床下診断と古民家鑑定士による古民家鑑定)を行った古民家の売買や賃貸情報を無料で掲載している。

 同サイトの掲載物件は、住所、築年数、間取り、オーナー希望価格と古民家鑑定査定額、土地面積、建築面積、延べ床面積、接道状況、上下水道、電気、ガス、トイレ、最寄り駅、都市計画、用途地域などの記載に加えて、周辺環境の情報を写真付きで掲載している。取引は、該当地域の不動産業者が仲介する。

 古民家鑑定査定額は、古民家鑑定士が建物の状態を見て、修繕費用などを考慮した価格で、オーナー希望価格より高い場合はお値打ち物件ということで問い合わせも多いという。同サイトでは年間100件程度の取引が成立している。また、同協会が実施する古民家のインスペクションは年間400件ほどで年々、増加傾向にあるという。

 同協会には県ごとに支部があり、これまで30自治体と連携協定を結び、空き家や古民家の調査、情報共有、利活用、移住定住促進、地域活性化など幅広い内容で連携を行っている。自治体では、古民家を地域の交流施設に利用するなどを行っている。

 古民家を利用するには当然修繕費用が一般住宅よりかかってしまうが、地元工務店の受注につながり、カフェや宿泊施設ができれば経済効果も期待できる。住居利用になれば空き家の解消や移住者増加にもつながる。何よりも、古民家ブーム以前には見向きもされなかった建物の本来の価値に目が向いてきた事例といえる。

 

三友SA 田井政晴常務執行役員

不動産鑑定から見る古民家

 不動産鑑定業などを行う三友システムアプレイザルの田井常務執行役員に、投資物件としての古民家について話を聞いた。

     ◇   ◇

 まず、文化財等の指定を受けた建築物の場合には市場性のない特殊価格として見るが、登録有形文化財の場合には、収益性を検討した価値の把握が可能だ。取引対象となるのは、旧庄屋や農家、産業遺産など、古くて価値があって、特に江戸や明治期に贅(ぜい)を尽くして建てられた建物で、状態が良ければ当然市場価値も高い。

 自治体が古民家を活用するのは、建物自体が地域の歴史や文化を背負って存在し、また地域の気候風土に根差した構造を備えるなど、観光資源としての価値を見いだしているからだろう。

 以前は、取り壊すしかなかった古民家がインターネットの普及によって情報が回るようになり、この20年で取引が活発化している。古民家は、古い分修繕費用がかかるため、取得費用を抑える必要がある。オーナーが高齢でただでも手放したい場合には、リフォーム費用だけで利用できるが、問題は利用した場合の出口戦略、採算性まで考慮することが重要だ。特に不特定多数の人が利用する場合には、耐震性が求められる。

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