始まる新たな登録制度 財産の分別管理や サブリース規定が 国家資格化を目前に資格受験者急増 賃貸住宅管理業法6月全面施行 定期報告など義務化 先行して20年12月施行 賃貸不動産経営管理士
住宅新報 2021年1月5日 号 22面
今回の新しい法で創設された「賃貸住宅管理業に係る登録制度」は、6月に始まる。そこでは、賃貸住宅管理業を営む者は、国土交通大臣への登録を義務とした。これは、国土交通省が11年度に告知した従前の登録制度に代わる制度となる。委託を受けて一定規模(管理戸数200戸の見込み)以上の賃貸住宅管理業務(賃貸住宅の維持保全や金銭の管理など)を行う事業を営もうとする者は、新たに登録し直す必要がある。
賃貸住宅管理業者は、この登録自体が義務化されるほかに、業務に対しての義務事項がある。まず、管理や監督を行う「業務管理者」を配置しなければならない。営業所、または、事務所ごとに設置する。管理受託契約の契約内容を明確にさせ、管理業務として行う賃貸住宅に対する維持保全の実施方法の妥当性などに関して、賃貸住宅管理事業の円滑な実施を確保するために、必要な事項の専門的知識や経験を有していなければならない。この業務管理者になれる要件としては、一定の講習を受けた賃貸不動産経営管理士や宅地建物取引士などが想定されている。
また、管理受託契約の締結前の重要事項説明や書面交付に加えて、締結時の書面交付が義務となる。管理業務を委託するオーナーが十分に契約内容を理解して契約を締結できるようにするためだ。具体的な管理業務内容や実施方法などを示す書面を交付して説明をする必要がある。
賃貸住宅管理会社の財産の分別管理も求められる。家賃などの金銭や修繕費用などの収受・経理処置は輻輳して煩雑になりがちで、要らぬトラブルに発展する可能性がある。そこで、契約者ごとに受領して管理する家賃などの金銭を自社の資産と分別した上で管理しなければならない。
業務改善命令も
賃貸物件のオーナーが適切に賃貸管理業務の実施状況を把握しておくこともトラブルを防止するため必要となる。 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約の相手方の賃貸物件オーナーに対して、業務の実施状況などに関する内容の定期報告を義務づけられることになった。これに違反した場合には、業務改善命令や業務停止処分などの監督処分のほか、罰則を受けることもあり、十分に注意して業務に向き合わなければならない。
これらの事項については、消費者庁などが注意喚起するチラシなどを作成している(写真)。それらを印刷し、物件オーナーなどに配布して周知し、内容の理解を促すことも、賃貸住宅管理業者に求められる取り組みになるのではないだろうか。
新しい法律には、賃貸住宅の良好な居住環境を確保しつつ、不良業者を排除して、賃貸住宅管理業界の健全な発展や育成を図る狙いがある。これまでも各種の業務慣例として取り組んできた賃貸住宅管理業者は多いが、今回の新しい法律では「義務化」の事項が多い。正しく理解して適切に対応しなければならない。 新しい法律が成立した背景に、一部悪質業者の、主にサブリースビジネスに端を発して社会問題化したことがあることを忘れてはならない。
新しい法律で明示されたサブリース規定(サブリース業者とオーナーとの間の賃貸借契約の適正化に関する措置)に関しては、先行して20年12月15日に施行されている。それを前に、20年10月にはサブリース契約に関するガイドラインを国土交通省が発表している。
不当勧誘を禁止
そこでは、サブリース事業にメリットが多く、ことさらにそれを強調し、リスクについては過小に見せるといった誇大広告などを禁止とした。 また、契約締結に重大な影響を及ぼすリスク事項を故意に告げず、不実のことを告げるような不当な勧誘なども禁止している。これらはサブリース業者ばかりでなく、契約締結の営業活動などを行う建設会社などの勧誘者についても、禁止が適用される。更に、マスターリース契約の締結前の重要事項説明と書面交付、締結時の書面交付なども義務化されている。
賃貸住宅管理業務で中心となり、現場を担うのは、賃貸不動産経営管理士の大きな役割になるだろう。新しい法律でも業務管理者に位置づけられる見込みであり、公正・中立的な立場にあって業務を遂行することに一層重要な存在になっていくはずで、社会全体からも注視されている。
その証左として、20年11月15日に全国24地域67会場で実施した賃貸不動産経営管理士の資格試験は重要度が一層増し、出題数は50問(前回45問)に拡大。これに伴って試験時間も120分(前回90分)に延長された。受験数も増加して、過去最多の2万7338人(前年比15%増、プラス3733人)が受験に臨んだ(写真)。合格者の発表については、1月8日午前10時に同資格制度を運営する団体である、賃貸不動産経営管理士協議会(会長=坂本久全国宅地建物取引業協会連合会会長)のホームページで発表される。合格者は所定の手続きを経て、21年4月1日に晴れて「賃貸不動産経営管理士」として登録される。
賃貸不動産経営管理士の有資格者はコロナ禍などをふまえ、デジタル化など大きく変化していく時代や社会に的確に対応しなければならない。最新の知識や情報を常に取り入れて適正に業務に従事するため、登録すれば終わりでなく、そこからがスタート地点ということ。賃貸物件オーナーの安定した賃貸住宅経営や入居者の安心で安全な住環境づくりの実現に貢献していく使命がある。賃貸住宅管理の専門知識と高い倫理観を兼ね備えたスペシャリストの自覚は不可欠だ。健全な業界の発展に力を注ぎ、物件オーナーや入居者に常に寄り添う。良質な賃貸住宅管理サービスを提供する使命を帯びる賃貸不動産経営管理士は重責を担っていくことになる。
























