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スタンダード会員限定オフィス価値が鮮明化 ABWベースに構築支援

住宅新報 2021年1月5日 号 20面

総合
  • フレキシブルオフィスの分類

    1 / 2フレキシブルオフィスの分類

  • 三井デザインテック本社のコミュニティスペース。コロナ以前は日本シリーズ観戦などイベントを開いていた(撮影日は18年10月30日)

    2 / 2三井デザインテック本社のコミュニティスペース。コロナ以前は日本シリーズ観戦などイベントを開いていた(撮影日は18年10月30日)

フレキシブルオフィスを活用

CBRE 仕事の効率向上機能が必須

 レンタルオフィスやシェアオフィスといったフレキシブルオフィス(賃貸借契約の締結を必要としない、施設利用契約に基づき利用されるオフィス)への関心が高まっている。

 CBREバリュエーション・アドバイザリー&コンサルティングサービス本部第一部でディレクターを務める西村俊則氏は「数も面積も拡大しているのは間違いない。貸しビル業を行っているお客様が新事業としてフレキシブルオフィスを展開するために、20年7月以降、マーケット調査依頼、立地の相談が増えている」と説明する。特に首都圏では郊外の結節点となる駅周辺への設置ニーズが高い。

 同社ではフレキシブルオフィスを利用目的により「エンタープライズ型」と「サードプレイス型」に分類(表参照)。コロナ禍以前、東京都心5区のオフィスビルの空室率は過去最低水準で推移。増床ニーズに対応するためにフレキシブルオフィスも「エンタープライズ型」が活況を呈していた。郊外への設置ニーズは在宅勤務の代替などに使える「サードプレイス型」が主流で、新型コロナの影響で関心の的が「サードプレイス型」に切り替わった格好だ。

 CBREのコンサルティングサービスではフレキシブルオフィスを踏まえたオフィス戦略も構築する。コロナ禍以前から手掛けている従業員数1000人超の大企業のケースでは、従業員のメリット、営業戦略、賃料などを分析。西村氏は「よい立地のよいビルに移転することで、従業員満足度を向上させる。よい物件のため、単価が上がるが、床面積を減らして賃料総額を抑える。ABWを導入すると共に、首都圏の外周部でサービスオフィスと契約。皆が都心のオフィスに通勤しなくてもよいという形でコンサルを進めてきた」と説明する。コロナ禍の中で、この案件の大企業は改めてオフィス戦略に納得しているという。

 オフィスを構える意義は最終的にオフィスで何がしたいかという根源的な課題に行き着く。西村氏は「オフィスはコミュニケーションスポット。オフィスの立地はやはり交通利便性の高い場所に落ち着く。オフィスはお客様だけでなく、従業員にも〝来ていただく〟場所になる。出社すれば仕事の効率が上がる、そういう機能が改めて必要になる。それがコロナ以前とは異なる」と説明する。

 コロナ収束の時期、アフターコロナの状況は読めないが、従来からABW的な働き方へのニーズは根底にあった。西村氏は「新型コロナは世の中の流れを変えたように見えるが、ABW的な働き方を促進させたのであり、コロナが収束しても元のような働き方に戻ることはないのではないか」と展望している。

ABWへの動きに加速感

三井デザインテック  人間関係の構築促すオフィス

 ABWを重視したオフィスデザインを提案する三井デザインテック。グローバルなトレンドはコロナ禍以前から、ICT技術、ABWを取り入れ、生産性の向上を進めるというもの。日本企業の現状について、同社スペースデザイン事業本部ワークスタイル戦略室の岡村英司室長は「大きな方向感は変わらず、新型コロナの影響で加速した。自分たちの働き方を見直し、生産性を高められるか。そうした点にしっかり目を向けるようになった」と説明する。

 テレワークを経験した企業は、その経験を踏まえて今後の方向性を吟味している現状がある。同社はテレワークでは(1)「偶発的な出会い」の消失、(2)「暗黙知の共有」の消失、(3)「心理的安全性」の消失――が起きると考察する。リモートでは、表情やしぐさといったノンバーバル(非言語)なコミュニケーションが取りにくく、当然、社内の雰囲気も感じられない。

 リモートワークが円滑に進む背景には、既に構築された人間関係がある。営業先の初対面の相手とのやり取り、社内の新入社員・中途社員のOJTなど、リモートでは困難が付きまとう。同社では「オフィス不要論」に当初から否定的だ。10人程度の小規模企業であれば、オフィスがなくても集まる場所は簡単に設けることが可能。一方、1000人単位の大企業であれば、オフィスがないのは「逆に非効率。人間関係を築くためのリアルな場を即興的にはつくれない」(岡村室長)。

 これまで、同社は産学共同プロジェクトとしてABWの効果を検証してきた。固定席やフリーアドレスとの比較を通じて、働く場所を選択できるオフィス環境がパフォーマンス向上に寄与することを確認している。

 ABWを踏まえ、今後のオフィスレイアウトのポイントには人間関係の構築促進を置く。顧客への提案では、オフィスの中心にカフェスペース、イベントスペースといったコミュニティスペースの設置を盛り込む事例がある。カフェやイベントのスペースで偶発的な出会い、新たな知見や情報の獲得を促す仕組みだ。オフィスの一番外側に執務スペースを設ける。リモートワークを踏まえ、執務スペースは従来よりも狭い。

 同社も本社1階にコミュニティスペースを設けている。21年度上半期中をめどに本社オフィスを新設するが、コンセプトをアップデートさせる方針だ。

課題の一番深い部分を

 オフィスづくりの方向性は同じでも、その〝向かい方〟に違いが出る。岡村室長は「お客様自身がしっかりとオフィスの意味を考え、答えを持たないと、新しい働き方は手に入らない。会社にとって何が大事で、何が足りないのか、なぜ変われないのか。課題の一番深い部分を解決しないと、変われないのでは」と指摘した。

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