業界団体トップの年頭所感 デジタル化などで新たな価値を
住宅新報 2021年1月5日 号 3面
新たな不動産業のあり方築く
菰田正信・不動産協会理事長 今年は感染防止策を徹底しながら、経済活動を着実に回復させていくことが重要だ。ウィズコロナ・ポストコロナを通じて進む数々の変化の中で、新しい不動産業のあり方を築き上げていく1年にしたい。都市政策については、働き方の変容に的確に対応していくことや、都市の強じん化による災害への対応の強化、DXへの対応なども必要だ。住宅政策については、建替え・再開発などによる新規ストックの創出や再生が不可欠である。また、50年カーボンニュートラルに向け、サステナブルなまちづくりに向けた取り組みを行っていきたい。
「アナログ&デジタル」が重要
木村惠司・日本ビルヂング協会連合会会長 オフィスビル業界を巡っては、テレワークやリモートワークの浸透によりオフィスマーケットへの影響が懸念されているが、オフィス市況が大きく落ち込むことはないと確信している。これからのオフィスビルは、「Face to Face」というアナログの大事な面とデジタルを両立させた「アナログ&デジタル」という発想が重要で、その発想のもと進化していく必要がある。今後の協会活動としては、不動産業界全体の連携を更に強めていく。
拡大する課題に対応
小関正彦・日本ビルヂング経営センター理事長 新型コロナウイルス感染症の再拡大によりオフィス市場の動向にも懸念が高まる中、テナントとの契約関係の処理、感染症対策に対応した適切なビルの管理が求められる一方、様々なテナントニーズへの対応など、ビル経営管理に対する課題は広がっており、これらに対応する専門性を持った人材の必要性がますます高まっている。当センターでは、近年ビル経営管理士等の一層の活躍をサポートするため、IT環境の充実を図っている。今年も、ビル事業関係者の方々に有益な情報の提供に努めていく。
Jリートの進化と発展へ
杉山博孝・不動産証券化協会会長 新型コロナの拡大に伴う緊急事態宣言発令などにより、昨年の4~6月期には、歴史的な景気の落ち込みを記録したが、物件取得は例年のペースに戻りつつあり、昨年末には公募・私募を合わせたリート市場は取得価格ベースで約24兆円の規模に達した。本年はJリート誕生20周年に当たる節目の年となり、更なる進化と発展が期待されている。そのために、投資対象資産の多様化や投資家層の更なる拡大に加えて、DX(デジタル・トランスフォーメーション)への取り組みやESGを重視した投資・運用の高度化が重要であり、それらの課題に使命感を持って取り組んでいく。
デジタル化の一層の推進を
坂本久・全国宅地建物取引業協会連合会会長 本会では昨年8月よりハトマークWeb書式作成システムを稼働させ、売買・賃貸計約6万件の書式が作成された。本年の通常国会ではデジタル化一括法案が上程され、不動産取引でも非対面契約が可能となる見込みだ。本会としてもデジタル化に対応すべく書式作成システムで蓄積されたデータの活用やWeb研修システムの整備、電子契約システムの構築を進めていく。また、6月の賃貸住宅管理適正化法の全面施行に備え、会員の業務に支障がないよう適切な対応を図る。
豊かな住生活実現へ
原嶋和利・全日本不動産協会理事長 昨年5月には目標に掲げてきた会員数3万2千社を見事に達成するなど、このコロナ禍にあっても着実に組織の拡大を実現してきた。昨年4月には「全日中期ビジョン」の理念を具体的な施策へと結実させるため、本会に専属する研究機関「全日みらい研究所」を設立。その皮切りとして「全日空家対策大全」を発表した。また昨年末に発表された与党税制改正大綱では、本会がかねてより要望してきた住宅ローン控除における床面積要件の緩和が盛り込まれるなど、幅広い購買層によるコンパクトマンション需要を後押しするものとして期待している。
設立50周年節目に次へ前進
山代裕彦・不動産流通経営協会理事長 当協会は、昨年、設立50周年の節目の年を迎えたことを機に、『FRK提言2020』として取りまとめた。次の50年に向け、「顧客志向」を前面に掲げ、不動産流通業は「信頼産業」であることの原点に立ち戻り、目指すべき市場の姿として、第一に、「安心・安全な取引が実現する市場」、第二に「多様なニーズが充足される厚みのある市場」とし、それを実現させるための具体的方策を整理した。次の50年に向かって前進していくスタートの年として計画を着実に実行に移していく所存だ。
新たな価値観に対応
馬場研治・全国住宅産業協会会長 国内はもとより諸外国との連携の下、一刻も早くコロナ禍から脱却し、人々が安心して暮らせる1年になることを強く祈る。住宅供給事業者として、感染防止や新しい生活様式に対応した住環境創造を通じて役割を果たしていきたい。住宅・不動産業界は多くの課題に直面している。自然災害対策、長期優良住宅やZEHの普及、既存住宅の流通促進、リフォームや建替えの推進、在宅勤務やコワーキングスペースの確保、二拠点居住の推進、リバースモーゲージの普及や残価設定ローンの検討など新しい価値観に対応していく必要がある。
賃貸管理業の地位向上へ
塩見紀昭・日本賃貸住宅管理協会会長 6月には新たな賃貸住宅管理業者の登録制度がスタートし、事業者には法令遵守が求められます。賃貸住宅管理業の社会的な地位が一層高まると共に、事業者の果たすべき役割と責任も増していく。本年、当協会は管理業法への対応と登録の促進を最重要課題と位置付けている。最新情報の発信、実務対応策の周知、実務書式の公開など、事業者が新しい登録制度へスムーズに移行できるようバックアップしていく。
賃貸管理の専門家を育成
坂本久・賃貸不動産経営管理士協議会会長 昨年「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が公布された。6月の同法の施行により賃貸住宅管理業者は、登録制度に登録する必要があり、管理業務の管理及び監督を行う存在として事務所毎に1名以上の「業務管理者」の設置が義務付けられる。賃貸不動産経営管理士は業務管理者になる要件として法体系に位置付けられ、国家資格となる。本年も、賃貸管理の専門家を育成し、賃貸住宅管理業の適正化を推進する。
「適正評価」「DX化」に注力
岡本潮・マンション管理業協会理事長 昨年6月、改正マンション管理適正化法が公布された。当協会では、マンション管理適正評価制度の構築を進めると共に、「管理計画認定制度」と「マンション管理適正評価制度」の接続を目指し、国土交通省と協議を進めている。また昨年、有識者による検討会を開催し、IT総会等を適正に実施するためのガイドラインを公表した。今後のマンション管理業におけるIT化、DX化への第一歩だ。本年は「適正評価」に関わる基本制度の確立に総力を挙げて取り組むと共に、業界のDX化に向けた課題に取り組んでいく。
政策実施機能の最大化図る
加藤利男・住宅金融支援機構理事長 当機構は我が国の住生活の向上を金融面から支援するため、政策実施機能の最大化を図ることが求められている。全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」は累計約120万戸の利用があるほか、地方自治体による施策との連携や、高齢者層の多様な住宅ニーズに対応としてリバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」の提供支援等に取り組んでいる。近年の度重なる大規模自然災害からの復興支援では引き続き被災者に寄り添い、更に足下では新型コロナの影響により返済困難となった顧客にも丁寧に対応していく。
持続可能な社会へ貢献
中島正弘・都市再生機構(UR都市機構)理事長 昨年は当機構として初めてソーシャル・ファイナンスを導入し、投資家などから好評を得た。今後も街づくりや住まいづくりを通じて社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現に向けて役割を果たしていく。具体的な事業としては、発災から10年を迎える東日本大震災からの復興支援を、引き続き最優先業務として全力で支援。都市再生事業については、ポスト・コロナやSDGsの観点を踏まえた街づくりを推進する。賃貸住宅事業では、全国70万戸超のストックを活用・再生し、ミクストコミュニティの実現を目指していく。
国民の負託に応える
吉村真行・日本不動産鑑定士協会連合会会長 所有者不明土地問題、空き家問題、大災害等の様々な課題に加え、コロナ禍において、国民の負託に応えることができる専門家・実務家がこれまで以上に必要とされる新時代が到来している。今こそ、不動産鑑定士は「不動産の価値判断ができる専門家・実務家」として、「有事の時こそ役に立つ専門家」として、社会・国民の役に立てるよう全力で取り組まなければならない。
コロナや脱炭素で良質な住宅
阿部俊則・住宅生産団体連合会会長 人生100年時代のライフステージやライフスタイルに応じた住宅・住環境の中で、住宅産業界は資産価値を維持し続ける良質な住宅「ストック型社会」の実現に取り組んでいく必要がある。そして新型コロナ感染症や2050年脱炭素社会を踏まえた上で、感染対策や快適・環境性能の優れた良質な住宅ストックの整備、また既存住宅の良質化に真摯に取り組まなければならない。ストック型社会に相応しい経済対策や住宅税制のあるべき姿を研究調査し提言を通じ、皆様の安心で豊かな住生活の実現を推進していく。
内需の柱は住宅市場
芳井敬一・プレハブ建築協会会長 昨年末の税制大綱には住宅ローン減税の延長や贈与税非課税枠の維持が、また、経済対策にはグリーン住宅ポイント制度の創設等が盛り込まれ、更にデジタル化や規制改革の取組みが積極的に進められている。住宅業界としては、「新たな生活様式」等のニーズを希望の光として、内需の柱である住宅市場の活性化で日本経済に貢献しなければならない。長期優良住宅やZEHなど良質な住宅ストックの供給により、「2050年カーボンニュートラル」の達成に向け貢献するとともに、災害時の安全・安心の推進に引き続き取り組んでいく。
脱炭素へ木造住宅は大きな貢献
市川晃・日本木造住宅産業協会会長 謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。昨年はコロナ禍により働き方や生活のスタイルが見直され、住まいのニーズに変化が見られた。また、脱炭素社会の実現に向け、省エネ性やレジリエンス性に優れた住宅の必要性が一層高まってきている。木はCO2を吸収し炭素として固定しており、木造住宅は大きな貢献となる。グリーン住宅ポイント制度や住宅ローン減税の延長等の経済対策によって良質な木造住宅の普及を図ると共に、地域経済を担う住宅関連事業者の持続可能な経営に資する政策を要望して参りたい。
ストック時代に相応しい住宅を
池田明・日本ツーバイフォー建築協会会長 昨年は新型コロナウイルスの影響等により住宅市場は低迷が続いたが、昨年末、政府においては、内需の柱となる住宅投資を喚起するため、住宅ローン減税措置の延長や、高い省エネ性能の住宅の新築等に対し「新たな日常」にも対応したポイントを付与する制度の創設等の措置を講じるとされたところであり、ご尽力いただいた関係者の皆様に感謝申し上げるとともに、引き続き、住宅市場の動向を的確に見極め、必要な対策が機動的に講じられることを期待したい。







































