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スタンダード会員限定点検 不動産利活用 持続可能社会への取り組み 一般財団法人 日本不動産研究所 第31回 リノベで人の輪が広がる「コーポ江戸屋敷」 福岡県久留米市 団地に豊かな暮らしを

住宅新報 2020年12月15日 号 18面

連載: 点検 不動産利活用

総合
  • コーポ江戸屋敷は4階建ての小ぶりの団地

    1 / 2コーポ江戸屋敷は4階建ての小ぶりの団地

  • 1階部分を改装して、カフェとパン屋をオープン。ウッドデッキから入ることができる

    2 / 21階部分を改装して、カフェとパン屋をオープン。ウッドデッキから入ることができる

 福岡県久留米市のコーポ江戸屋敷を紹介する。

 コーポ江戸屋敷は西鉄天神大牟田線「試験場前」駅から徒歩20分に立地する、決して足の便が良いとは言えない昭和レトロな団地である。福岡市への通勤圏の外側に位置し、地元企業へ車で通勤する人向けの典型的な団地となる。周辺一帯は戸建て住宅地域で、ポツンと4階建ての小ぶりの団地が3棟並んでいる。建物はRC造の共同住宅で1978(昭和53)年の建築だ。

 このコーポ江戸屋敷は、スペースRデザインとH&Abrothersが協働で建物管理をしている。スペースRデザインはリノベーションを通じて団地の再生を担う新進気鋭のイノベーターだ。気負った感じはなく、自然体で次から次へと精彩を失った施設に火をともしている。

リノベで循環型に寄与

 リノベーションはSDGsが目指す〝住み続けられるまちづくり〟や〝つくる責任つかう責任〟に適合している。空き家問題を解消し、スクラップ&ビルドのまちづくりを改め、循環型社会を育む点でSDGsの実現に寄与している。

 管理人は「以前は通り抜けができなかった部分に花壇のある小道をつくったり、共用部の照明や掲示板、ポストを更新したり。入居者さんの声にも耳を傾け、一歩一歩改善を重ね取り組んでいるところです」と言う。

 現在は1階部分を改装してカフェとパン屋さんがオープンしている。ベランダ側に設けられたウッドデッキからそっと入ることができ、〝団地になじむほっこりしたお店〟とのことだ。

シェアオフィスも

 この団地が変わっているのは「BASE」という職人シェアオフィスがあることだ。ここに集まってくるのは、なんと11業界(大工・電気・造園・設計・デザイン・内装・設備・サッシ・塗装・鉄工・盆栽)に及ぶ若手の職人さんたちで、月に一度〝職人会議〟なるものが開催されているという。分野外のことでも気軽に聞ける職人の輪が広がりを見せている。

 ハロウィンの頃には郵便受けに装飾がなされていた。小さな気遣いに温かみが感じられる。近所にも受け入れられ、大きく花開きつつある。当初、パン屋は日曜日が定休日だったそうだが、近所の要望が強く、今では日曜日も営業している。

地元に明るさ

 入居者は町内会のイベントにも協力的で、地元では、この界隈(かいわい)が〝パアッと明るくなった〟と喜んでいる。管理人は「敷地内の見回りをしたり、植物の世話をしたり、近所の子供たちとおしゃべりしたり。年に数回、入居者さんやご近所さんをお誘いしてイベントを開催しています。入居者でもある職人さんたちがつくる本格的な竹のそうめん流し台は、子供たちにも大好評。また入居者さんへ向けてニュースレターを発行し、コーポ江戸屋敷での取り組みなど、私たちの想いを載せてお届けしています」と言う。

 スペースRデザインはコーポ江戸屋敷以外でも、例えば、炭鉱の街、大牟田市でもシャッター商店街の再生事業を成功へと導いた。誰もが無理とさじを投げる地方の復興をさりげなくやってのける同社の取り組みは、評判が評判を呼んで、福岡県だけではなく遠く鹿児島まで活動の輪が広がっている。

(九州支社、不動産鑑定士・山崎健二)

 (参考)くるぐらハッコウ所ホームページ

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