賃貸管理プロフェッショナル輩出へ 過去最多の受験者が臨む 管理士協 賃貸不動産経営管理士試験を全国で実施
住宅新報 2020年11月24日 号 9面
新型コロナウイルス感染症の広がりの中での初めての試験となった。その〝第3波〟が危惧される中、試験制度を運営する賃貸不動産経営管理士協議会(会長=坂本久全国宅地建物取引業協会連合会会長)は、感染拡大防止の策を講じて万全な体制で受験者を迎え、無事に終了した。
合格者は、所定の手続きを経て、21年4月1日に晴れて「賃貸不動産経営管理士」として登録される。健全な業界の発展に力を注ぎ、物件オーナーや入居者に常に寄り添い、良質な賃貸住宅管理サービスを提供する使命を帯びる賃貸不動産経営管理士の責任は重い。賃貸住宅管理業法の公布後で最初の有資格者となり、一層の活躍が期待されているからでもある。
そのため今回以降は、本試験の重要度が一層増し、出題数は50問(前回45問)に拡大。これに伴い、試験時間も120分(前回90分)に延長された。本試験で問われるのは、賃貸管理の意義や役割を巡る社会状況から、賃貸不動産経営管理士のあり方、賃貸住宅管理業者登録制度に関してなど、業務の背景から倫理までと幅広い。また、管理業務受託や借主の募集、賃貸借契約、賃貸業への支援業務など実務に沿った内容の〝実用的〟な知識が必要となる。年齢や性別、学歴などを問わずに誰もが受験でき、広く門戸が開かれている。
サブリース規定先行 法制化と国家資格化
賃貸不動産経営管理士は、07年に資格制度が始まった。賃貸不動産の管理に関して専門知識や技術を持つ。それらを磨き、倫理観を兼ね備えた賃貸管理業務のプロフェッショナル人材として、これまでに5万人以上を輩出した。 今回の「賃貸住宅管理業法の成立と、賃貸不動産経営管理士の国家資格化は、業界全体としての悲願」(賃貸不動産経営管理士協議会)であった。それを〝絵に描いた餅〟にせず、一層、襟を正すところは正すべきであると、社会からも注目されている。
問われる倫理観
本試験で問われる内容から分かるように、賃貸不動産経営管理士には厳しくその〝倫理観〟が問われている。新法は21年6月に全面施行される見込みだが、社会問題化した背景から、サブリース規定(サブリース業者とオーナーとの間の賃貸借契約の適正化に関する措置)に関しては、先行して12月15日に施行される。
そこで10月には、具体的な規制の対象を事例などで解説したサブリースに関する「ガイドライン」(サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン)が示された。
規定で明確化
サブリース規定のガイドラインのポイントは、大きく分けて、規制対象となる「勧誘者」や、禁止される「誇大広告・不当勧誘」、契約前の「重要事項説明内容」、契約時の「書面交付」の内容などを明確化した点にある。これらだけで書面の記載例を含めて40ページ近い分量がある。
仔細に説明されているが、いわば至極、当然のことが記されている。見方を変えれば、一部ではあったが少なからずの悪質な業者がこうした誤解を招きやすい、招いた業務を正すために、法制度として規定された経緯がある。
今後は明確に適切に、家賃の定期的な見直しや、その見直しによって家賃が減額される場合のほか、契約条件に関係なく借地借家法第32条第1項(賃料増減請求)に基づいてサブリース業者側から減額請求できることを説明する必要がある。減額請求を物件オーナー側は必ず受け入れなくてはならないのでなく、変更前の家賃決定の要素とした事情を総合的に考慮して協議し、相当の家賃額が決定されることを理解してもらえるまで、丁寧に説明しなければならない。契約期間中でもサブリース業者側から解約される場合があり、借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)に基づき、物件オーナーからの解約では、正当事由が必要なことなどが重要事項説明の項目となる。
ここでの重要事項の説明者は、法律上の定めがないものの、一定の実務経験を有する者や、賃貸不動産経営管理士などの専門的な知識と経験を有する者により説明が行われることが望ましいとされた。
業務管理者で活躍 登録制度がスタート
賃貸住宅管理業法で上述のサブリース規定に続き、21年6月の全面施行の際に規定されるのが「賃貸住宅管理業の登録制度」だ。従前の11年度の国土交通省告示で運用されていた任意の登録制度に代わり、新たな登録制度としてスタートする。国土交通大臣への登録を義務付け、一定要件を設けて不良業者を排除し、賃貸住宅管理業界の健全な発展や育成を図るのが狙いだ。
業務での義務付けでも、登録業者は、事務所ごとに賃貸住宅管理の知識や経験などを有する者として、「業務管理者」を配置する必要がある。管理受託契約締結前の重要事項説明、財産の分別管理、業務の実施状況を定期的に報告しなければならない。
ここでいう「業務管理者」は、一定の講習を受けた「賃貸不動産経営管理士」または「宅地建物取引士」が務めることになる。この規定で賃貸不動産経営管理士協議会は8月に、国土交通省不動産・建設経済局長の青木由行氏に要望書を提出した。それによれば、既に賃貸住宅管理業で実務経験や専門知識などを有する専門家である賃貸不動産経営管理士の積極的な活用を求めている。賃貸不動産経営管理士の活躍のステージは、ますます拡大していくようだ。


























