国税庁 路線価、当面補正せず 上半期で「大幅」下落は未確認
住宅新報 2020年11月3日 号 2面
国税庁は10月28日、20年分の路線価(7月1日公表)について、少なくとも6月までの相続等においては、新型コロナウイルス感染症による地価への影響に伴う補正を行わない意向を明らかにした。
路線価は毎年1月1日時点の地価評価である地価公示などを基に、時価の80%程度を目安に相続税や贈与税等の基準額を設定、公表しているもの。しかし20年は同感染症による不動産取引の停滞などにより、1月1日時点の評価額とその後の実勢価格とのかい離が想定されていた。
時価が路線価を下回った場合、通常は不動産鑑定士による鑑定評価額を基にした個別評価が行われる。しかし広範な地域で大幅な地価下落が生じた場合、多くの納税者と行政機関等に大きな負担が発生してしまう。そこで同庁は20年路線価の公表時、今年中に地価の大幅な下落が確認された場合には、地域別に一定の「補正率(仮)」を設定し、納税申告の便宜を図るという対応を検討していた。
しかしながら、9月に国土交通省が公表した都道府県地価調査や、同庁が外部専門家に委託して実施した地価調査などにおいて、6月時点までに時価が路線価を下回るほどの大幅な地価下落は確認できなかったという。そのため、同庁は現段階での補正対応を見送った。
ただし同庁によると、大阪・宗右衛門町や名古屋・錦3丁目では1月1日時点から約19%実勢価格が下落しており、わずかに時価が路線価を上回っているという状況。このほかにも東京・浅草や大阪・心斎橋筋など、近年インバウンド観光客増に伴い不動産需要と地価上昇が著しかった複数の商業地で15%以上の地価下落が確認されている。
そのため同庁の担当者は、「6月までの相続等については補正を見送ったものの、7月以降は、やはり20%超の下落により時価が路線価を下回るケースが出てくるだろう。そのため、補正率という手法に限定はしないが、なんらかの形での補正は必要になると考えている」と語る。
同庁は今後、国交省が四半期に一度発表する「地価LOOKレポート」や21年の地価公示、同庁による調査などを基に検討を継続し、必要に応じて補正による対応を実施する構えだ。対応の公表時期や対象地域などは未定ながら、「可能な限り速やかに判断したい」(同庁担当者)としている。


























