点検 不動産利活用 持続可能社会への取り組み 一般財団法人 日本不動産研究所 第23回 県内初のスマートシティ構想 沖縄県浦添市 〝地球に優しい沖縄〟目指す
住宅新報 2020年10月20日 号 20面
連載: 点検 不動産利活用
沖縄都市モノレール(通称:ゆいレール)の延長区間での運行が19年10月に開始された。13年に起工した6年にわたる事業が結実したものである。那覇市およびその周辺エリアの交通渋滞は全国でもワーストレベルにあるため、定時運行で送客能力の高いモノレールの延長には経済振興と共に交通渋滞の緩和が期待されている。
浦添市まで延長
ゆいレールは今回の事業で那覇市に隣接する浦添市まで延長されたのだが、浦添市内の新駅である「てだこ浦西駅」の周辺では、大型駐車場の建設等でパークアンドライドによる公共交通機関への転換を図り、更なる渋滞緩和を目指している(ちなみに「てだこ」とは沖縄の言葉で「太陽の子」を意味している)。また、今後の開発として当地区へのアクセスがしやすい沖縄自動車ICの整備等も計画されている。
このようにゆいレールは沖縄の基幹交通として重要な役割を担うものであるが、「てだこ浦西駅」の周辺開発には実はこれと別の一面もある。沖縄県内初のスマートシティ構想である。
主力のエネルギー源はガスを使って電力と熱を供給するコージェネレーションシステムであり、廃熱を回収して冷熱供給を行う。年平均気温がかなり高く、冷房等による電力負荷が厳しい沖縄に適したシステムとして期待がかかっている。電力・エネルギー供給は地区内のエネルギーセンターにより行われ、前記のほか、天然ガス・温泉ガス等も活用し、商業ベースに乗った分散型エネルギー事業を目指している。
CO2排出量に課題
沖縄は年間を通した温暖な気候、島嶼(とうしょ)の豊かな自然、人は温和というイメージがあるが、エネルギー事情においては実は地球に優しくない。河川の少ない沖縄の地形は水力発電に不向きであり、火力発電が電力供給のほとんどを占めているため、電力消費に伴うCO2排出量は他の地域と比較して高い。
沖縄県ではエネルギービジョンやアクションプラン(行動計画)を策定し、エネルギー自給率の向上と共に、国内外のエネルギー環境に貢献することを将来像として掲げている。そのための方策として、一次エネルギー供給量に対する再生可能エネルギーの比率を20年には5%、30年には13.5%とすることを目標としているが進ちょく状況は芳しくない。
環境破壊等の問題については自然を含めた観光資源が重要な土地柄ゆえに敏感になるものの、将来を見据えた取り組みについては重要とは認識しながらも後回しにされがちである。また、県側と万国津梁会議(知事諮問会議)との間で見解の相違が生ずるなど、沖縄県としてのSDGsへの取り組みについては多くのハードルを抱えている。
街づくりに期待
そのため、当地区の街づくりが成功すれば、他地区の街づくりにおける実例モデルとして注目されるであろう。これを契機に、多くの人が街の未来へ思いをはせるようになれば、沖縄の将来はますます明るいものになるであろう。目指せ、人や自然だけじゃない、地球にも優しい沖縄県。
(那覇支所、不動産鑑定士・関根俊雄)
























