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プレミアム会員限定明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第355回 特別企画『住まい悠久』を読んで コミュニティ形成「若さ」に価値

総合
はい島 三弥 不動産学部4年

はい島 三弥 不動産学部4年

 【学生の目】

 住宅新報の元編集長、本多信博さんの近著『住まい悠久』(プラチナ出版 2020年6月)が送られてきた。読んで若者の意見を聞きたいという。以前からこのコーナーに寄稿してきたことが白羽の矢が当たった理由らしい。不動産マスコミ分野の重鎮の著書であり、圧倒的な情報量の違いもあって、書き始める端緒が見えない。しかし、若者の視点であれば、その違いは問題とならない。何よりも、若者には同書が重視する長い時間がある。失礼を顧みず筆を進めるが、不適切な部分はご指導いただきたい。

 日本のみならず世界各地で新型コロナウイルス感染症の流行による影響が目に見えるようになってきた。『住まい悠久』には不動産業界が歩むべき指針が綴られており、今後の不動産業界、ひいては日本社会を考えさせられる1冊である。

 住宅・不動産業が大きく変わる必要を示す例として、賃貸住宅市場における高齢者の入居拒否問題を挙げている。問題解決には社会全体の価値観の抜本的な改革が必要で、「老い」に価値を認める社会、家事や子育てが世の中で最も尊い仕事だと考える社会を実現すべきという。人生100年時代を踏まえて地域のコミュニティ形成に取り組むべきとも書かれている。

 確かに、住宅・不動産業が変わるだけでは足りず、人間社会の価値観も大きく変える必要がある。しかし、『住まい悠久』に書かれているような価値観の社会に変えることがすべてではないし、それですべてが解決するわけでもない。

 長老という言葉からも分かる通り、現代社会に至るはるか昔は「老い」に価値が認められていたが、その理由は長年の知恵を有していたことである。果たして今日、「老い」の価値が認められる知恵をどれだけの高齢者が持ち、その知恵で社会と未来を導いているだろうか。

 シルバー民主主義で高齢者に配慮する一方、それが同書で必要とする価値観の変容を阻害していないか。何よりも阻害の先頭に立っているのは、ほかならぬ「老い」の人たちではないか。

 『住まい悠久』でも、少子高齢化を食い止めるために地域コミュニティの形成が必要と指摘するが、私はこれからの日本を担う者たちの「若さ」に価値の重きを置いて地域コミュニティ、ひいては社会を形成していくべきと考える。

 どのような国でも、どのような業界でも新陳代謝なくしては衰退しかなく、「老い」に重点を置いたままでは、少子高齢化をはじめとした日本の社会的問題が解決することはないだろう。

 私を含むこれからの若い世代は、強いリーダーシップを発揮できる人材とならなければならない。そのためには、不断の勉強と研鑽とによって自己を高め続ける必要がある。

 【教員のコメント】

 経済成長を支えた団塊の世代がリタイア年代になった。同世代と共に成長を支えたのは核家族向け短寿命住宅であった。法隆寺に見る悠久の価値は関わり続けた人の価値にほかならない。失敗から学ぶ「老い」の知恵で若い世代の未来を拓きたい。

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