明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第350回 きれいなアパート バランスの良さや個性演出
住宅新報 2020年9月15日 号 4面
【学生の目】
家の近所を歩いていてきれいだなと感じるアパートがあった。道路側にゆったりとした妻側を見せている建物だ(写真)。
特徴として、第1に、道路側の外観のバランスがよいことだ。2階建てで、東側に程よい大きさの窓が上下そろった位置に付いていて、外観のアクセントになっている。切妻屋根の破風の下端を小屋梁の位置で太くして、軽くなりがちな切妻屋根に重厚さを与えている。また、間延びしがちな小屋組み部分に洋小屋を連想させる化粧材を付けて引き締め、個性を演出している。
色はネイビーとアイボリーでうまく塗り分けられていて、落ち着いた雰囲気が感じられる。更に、外観を台無しにしがちな樋(とい)も、建物のデザインを邪魔しないよう配置されている。窮屈で取って付けたようになりがちな階段の入り口部分も広々としたタイル張り仕上げで、2階への動線もスムーズだ。1階の窓にはシャッターが設置されているので防犯面にもきちんと配慮されているように感じた。
第2に、1階のベランダが小さな庭のようになっている点だ。この規模の賃貸物件でこれほどのスペースがあるものはあまり見たことがなかったので興味を引いた。1階のベランダは2階よりもスペースがあるので布団などの大きな洗濯物が干しやすかったり、植物を育てたりするなど、活用方法はいろいろとありそうだなと感じた。
第3に、外構の植栽が整えられている点だ。階段周りに植栽として特徴的な丸いシルエットの木が植えられており、きちんとせん定され管理が行き届いていることがうかがえる。樹種はコニファーのようだが、細かな枝葉が乱雑になりがちな駐輪場を隠している。また、白い花も植えられていて、緑一色というわけではないので重々しさは感じられなかった。
しかし、1つ残念に感じた点はゴミ置き場だ。ゴミ収集の容易さからゴミ置き場の位置を指定したのかもしれないが、この建物の外観にとって最も大切な位置にある。化粧ブロックでゴミ置き場を確保して散乱を防いでいるのはよいのだが、カラス対策の青いネットがかかっているだけだ。半透明の袋に入ったゴミが外から丸見えなのがこの建物の雰囲気に合っていないように感じられた。少し費用は掛かってしまうが、蓋の付いたゴミストッカーのような収納庫があれば外観もすっきりし、安全性も確保されるだろう。
【教員のコメント】
セキュリティが重視されてオートロックの付設も増える中、伝統的な構成のアパートながらシンプルでバランスのよい配慮が若者には新鮮に映る。成長する植栽が1階窓のプライバシーを高めて住環境が熟成し、価値が高まっていく仕掛けが楽しい。
























