明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第349回 デザインの魅力を保つ 市場価値を維持する工夫
住宅新報 2020年9月8日 号 4面
【学生の目】
最近梅雨が明けたかと思えば天気が不安定で、急な雷、そして雨が降ることが増えた。そんなある日、韓国料理が食べたくなったがコロナ感染症のこともあり、持ち帰りで食べようと、韓国料理で知られる新大久保に出向いた。
駅から店に向かう途中で気になる建物を見つけた(写真)。パッと見た限りでは何の建物か分からない。建物の正面の左右にベランダのようなものが縦に並んでいる。後ろに行くに従って縦に並んでいるベランダのようなものが広がっている。ベランダの鉄柵も独特なデザインである。とがっている形と平らな形の柵が縦に交互に並んでいる。
正面のベランダには見えないが、後ろのベランダ一つ一つにエアコンの室外機が設置されている。更に、真ん中には四角い形の何かが縦に並んでいる。ハシゴで挟まれているからバルコニーで避難経路を確保しているのだろうか。普通のマンションとはとても異なる、見る人を引き付けるようなデザインをしている。大きな建物を近くで見ていたので気付かなかったが、遠くから見ると軍艦のような形をしている。こんなデザインに力を入れている建物は初めて見た。何がこの建物を軍艦に見せるのだろうか。
まず、色が軍艦を想像させ、色合いに男のロマンを感じる。次に、建物の横には小さな四角の窓が規則正しく並んでいて、舷窓をイメージさせる。更に、マンションの上部はとても特徴的なデザインをしている。まるで艦橋のようだ。ミサイルのように塔屋に取り付けられた円筒形のものは高置水槽のようだ。そして、細長い長方形の建物は後ろにいくにつれて膨らんでいて、船の流線形を模している。このようなことがこの建物を軍艦に見せていると感じた。
見た目ではなんの建物か分からなかったので入口のほうに行って見た。すると入居者以外は立ち入り禁止という貼紙があった。マンションだったものをリノベーションしてシェアハウスやオフィスなどに利用されているようだ。古い建物ながら新鮮な感じで目にとまったのは、個性的なデザインの魅力をベースにして市場価値を維持する工夫をしているからだろうと思った。
デザインがとても魅力的なのに、建物が密集していて全体が見えないのがとてももったいないと感じた。個性的なデザインの建物は最大限にデザインの価値を発揮してほしいと考える。
【教員のコメント】
普及が進んでマンションのデザインは普遍化したが、初期のものはヴィンテージマンションとして希少な価値を保つものが少なくない。高度商業地の細長い土地で採光や避難路など厳しい設計条件を克服しようとした建築家の迫力が今に伝わる。
























