東京都マンション管理届出制度 締め切り迫るも届出率まだ2割 書類不着に管理士会と連携
住宅新報 2020年9月8日 号 1面

東京23区 マンション地域別棟数の分布
都は、3月に届出書類一式を要届出マンションの管理組合宛てに特定記録郵便で発送しているが、管理人不在や管理組合用のポストがないなどの理由で約3000通(全体の2割程度)が配達できずに返送されている。
都は、郵送不着分の対策として、東京都マンション管理士会に8月末までに不着のマンションを個別に訪問してもらい、管理組合用ポストの有無や管理会社の連絡先の調査を依頼。管理会社など届出の提出に対応してくれる連絡先に、9月上旬に書類一式を再送付する。
東京都住宅政策本部の鎌田毅仁マンション施策推進担当課長は、届出書類送付と併せて広報紙・HP等で制度周知を進めていると説明し、「届出はオンラインからも受け付けており、郵送や窓口よりオンラインを推奨している。また、総合相談窓口も強化している」と話した。
締め切り後の対応 届出のインセンティブ
また、締め切りの9月30日を過ぎて届出や連絡がない場合には、まず事務処理を担当する各自治体から督促状を郵送する。
次に必要に応じて、同条例の17条2項の「届出を要するマンションの管理組合から正当な理由なく届出がない場合においては、当該管理組合又は区分所有者等に対し、報告を求め、又は職員等に調査させることができる」の定めに従って、現地で調査を実施するとしている。
鎌田課長は、まずは各区市町村や関係団体等とも連携し、粘り強く届出を促したいと説明し、「届出のインセンティブ(メリット)として、アドバイザー派遣制度の費用助成を設けている。コロナ禍で見合わせていた同派遣制度を9月1日から開始し、届出を行った要届出マンションの管理組合に対し、マンション管理士の派遣費用を1回全額助成する。管理不全の兆候があるマンションの管理組合は、最大5回まで全額助成が受けられ、管理規約策定や長期修繕積立金などの相談ができるので、ぜひ活用してほしい」と述べた。
都が19年12月にまとめた「『未来の東京』戦略ビジョン」の中で、25年度末までに届出を行った要届出マンションの割合を80%とする目標を掲げている。
実態把握が急務
同条例の検討委員会の座長を務めた横浜市立大学国際教養学部の齊藤広子教授は、国の認定制度に先駆けた制度だと説明し、「自主的に届け出しない、できないマンションへのサポートが大きな課題となる。今までのマンション施策は、届出を提出できるマンションが主に対象となっていたが、今後は、行政の手が届かなかったマンションにどう手を差し伸べていくのか。管理不全を予防するには、そうしたマンションの存在と管理実態の把握が急務となっている。マンション管理施策は大きく転換が求められている」と話した。
先行する豊島区は7年で約68%
東京・豊島区は、12年12月に全国で初めて「マンション管理推進条例」を制定し、13年7月からマンション管理の届出制度を開始している。分譲マンションの管理組合に対し管理状況の届出を義務付ける制度で、東京都との制度の違いは、建築年度の区分けはせず、区内2戸以上のマンションを対象としている点。
4月に都条例に基づく届出制度が開始されたことから、区条例の届出制度の対象から都条例の対象マンションを外す制度改正を行った。区条例の届出状況は、7月末時点で届出件数は537件、届出率は66.1%(制度改正前の1月時点では68.2%)。
3月には、マンション管理業協会(岡本潮理事長)と「マンション施策に係る包括連携に関する協定」を締結し、区内の管理会社と連携・協力してマンションの管理状況の把握や管理組合に対する支援の充実を進めている。
同区住宅課の佐藤重春課長は、安全安心な住環境促進のために良好なマンション管理の合意形成を推進するための区条例だと説明し、「いかに届出率を上げるかが課題で、5割程度に達した後は、協力団体とも共同で個別に訪問して6~7割に達したが、そこから伸び悩んでいる」と話した。
東京都は、届出率の目標を25年度末に80%としているが、対象条件が異なるものの、先行した豊島区と比較しても要届出マンションが1万4000棟で、残り5年半ほどでの達成には相当な活動が必要だと思われる。管理不全で、行政の支援が必要なマンションほど届出が提出されにくいとの矛盾がある。






















