オフィス〝新常態〟へ 主要デベ12社 最適な働く場所を模索 多様なテナントニーズがカギ
住宅新報 2020年9月1日 号 1面

三菱地所本社内のカフェエリア
調査した主要ディベロッパー12社は、三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産、野村不動産、東京建物、森ビル、森トラスト、中央日本土地建物グループ、伊藤忠都市開発、サンケイビル、オリックス不動産。自社のオフィスとテナントに供給するオフィスに関する新常態への対応状況について、8月26日までに回答を得た。
まず、自社の本社や支社のオフィスで新常態に対応したオフィスづくりを「行っている」との回答は、12社中11社で、残り1社も「行う予定」としており、規模を問わず、ほぼすべてのデベで新常態への対応を実施している。
具体的な新常態への内容としては、「当社運営のサテライトオフィス『ワークスタイリング』を含めた広域のABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の採用」(三井不動産)といったサテライトオフィスやコワーキングスペースの活用、ABW、フリーアドレス、リモートワークなどの導入といった社員の多様な働き方への対応が目立つ。
また、消毒液の常設や会議室でのアクリル板設置、ソーシャルディスタンスの確保、トイレに便座除菌クリーナーを設置するなど、新型コロナ対策も新常態への対応の一環と捉えている。
テナントの取り組みに対応
新常態に対応したオフィスビルの供給については、9社が「既に供給」「供給する予定」と回答。一方、無回答も2社あり、新常態の定義のあいまいさを指摘する企業もあった。ただ、基本的には入居しているテナント企業の様々な取り組みに対応できるようなオフィスや、共用部や設備を充実させた新タイプのオフィスを供給することで、新常態への対応を模索している様子がうかがえる。
そのため、具体例を示して回答した企業は少ないが、森トラストは「神谷町トラストタワー」(東京都港区虎ノ門4丁目)と回答。同ビルで、入居者のクリエイティブなオフィス空間作りをサポートする「クリエイティブフロア」を展開している。
自社のオフィスとテナントに供給するオフィスの新常態への対応として、「自社オフィスを実験場として供給するオフィスに反映する」との回答が8社、「無関係に実施」が2社、「自社オフィスを優先」が2社という結果だった。
デジタルと価値創造で
新常態に対応するオフィスについて、会社としての基本的な考え方を自由に記述してもらった。回答企業のうち、三井不動産は、「今後は企業文化や仕事の内容、働く個人の事情に合わせて最適な働く場所を選択する流れは加速すると思われる。統一的な解はなく、顧客ごとに拠点型オフィス、サテライトオフィス、在宅勤務を組み合わせた最適解を模索する動きが見られると考える」と、より広域にオフィスを考える視点を提示した。
また、三菱地所は、「場所や時間を柔軟に選択するワークスタイルが進む中、これからの『センターオフィス』は、イノベーションや価値創造を生み、人・モノ・情報・時間を共有する〝ハブ拠点〟としての求心力を高める等、一層の高度化が求められる」とし、イノベーションの場としてのオフィスを強調した。
森ビルは、「新型コロナウイルス感染拡大前より、オフィスとは単に働くだけの空間ではなく、食、住、遊、憩などの多彩な機能がオフィスに近接し、街全体が便利で快適な『ワークプレイス』であることが求められている。また、テクノロジーの進化は一層、そこに生きる人が人間らしく生きるための環境であり、人と人とのコミュニティが重要になる」と、街の機能やコミュニティが今後も重要性を維持すると捉えている。
更に、中央日本土地建物グループは「再開発や基幹ビルの建て替え等においては、フレキシブルなワークスペースの創出や、共用・公共空間の活用、DXを実装したスマートビル化による都市OSに対応していく方針」とした。
各社の基本的な考え方を見ると、新常態のオフィスは、生産性向上だけなく、時間や空間を超越するためのデジタル技術を活用し、人間の交流も重要視することで価値を生む場として機能するものといえる。(桑島良紀)






















