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スタンダード会員限定点検 不動産利活用 持続可能社会への取り組み 一般財団法人 日本不動産研究所 第15回 生活環境条例が人口増を後押し 東京都千代田区 「自主的な自治の育成」が鍵

住宅新報 2020年8月25日 号 12面

連載: 点検 不動産利活用

総合
  • 千代田区は東京の中心部に位置し高度に業務機能が集積している

    1 / 3千代田区は東京の中心部に位置し高度に業務機能が集積している

  • 「一斉清掃の日」に区内の町会や事業所、学校が清掃活動を行う(千代田区ホームページより)

    2 / 3「一斉清掃の日」に区内の町会や事業所、学校が清掃活動を行う(千代田区ホームページより)

  • 「一斉清掃の日」に区内の町会や事業所、学校が清掃活動を行う(千代田区ホームページより)

    3 / 3「一斉清掃の日」に区内の町会や事業所、学校が清掃活動を行う(千代田区ホームページより)

ポイ捨てに罰則

 毎年6月6日と11月6日は「千代田区一斉清掃の日」である。区内の町会や事業所、学校が清掃活動を行い、環境美化に関する啓発活動も行われる。99年に始まったのち、規模は徐々に拡大し、19年11月は409団体、8593人が参加したとのことである。これは「安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例(生活環境条例)」に基づく活動であり、そして、この条例は住民参加型の条例と評されている。

 千代田区は東京の中心部に位置する高度に業務機能が集積したエリアであり、昼間人口は夜間人口の約15倍に達する。昭和30年代頃から人口は減少し続けていたため、住宅供給を誘導するため、97年には併用地区計画等を導入するなどした結果、01年には人口は増加に転じた。多様な人々が同じエリアで活動や生活を行うことにより、ゴミのポイ捨てや歩きタバコ、路上放置物による環境悪化という問題が表面化する。そこで、99年に罰則を伴わない「ポイ捨て禁止条例」をスタートさせ、行政や区民が一丸となり人々のモラルに訴えたが目立った効果はなく、議論の末、罰則を設けることになった。これが、02年6月に成立した生活環境条例である。成立までには行政、区民や事業者等の地域のあらゆる人々が関わり、安全で快適なまちを実現することを目指し作り上げたものである。

 条例成立後から現在まで特に若い世代の転入が多く見られ、人口は約1.6倍と著しい増加率となっている。また、当区の新築マンション価格について見ると、異次元の量的緩和政策以降、都内の新築マンション価格は上昇したが、他区との比較においても非常に高い上昇率を示している。利便性や行政サービスの充足度の高さに加え、街の秩序ある環境の維持に対する人々の取り組みもエンドユーザーは評価しているのではないだろうか。

持続可能な社会へ

 我が国では大都市およびその周辺の地域で都市は膨張を続けてきたが、近い将来においては資源を集中させ、持続可能なまちづくりを意識する必要があり、そのためには中核都市を含む都市圏を中心に、業務や居住および都市施設を集中させることが持続可能な社会への鍵となるだろう。そして、持続可能なまちづくりにおいては、経済性や機能性並びに環境負荷だけでなく、生活の中でいかに豊かさを感じられるかという視点も忘れてはならないだろう。良好な住環境が確保され、都市生活を楽しむことができるまちであり、互いを尊重し、ゆとりや快適性、社会活動への参加など、生活の質を重視するまちづくりである。

 上記の条例の成立や条例に基づく活動における調整や連携においては、行政が大きな役割を果たしているといえるが、持続可能な社会を目指すにあたっては、行政サービスの効率化を図り、人口等を集積し、更に高密度な都市構造を目指しつつ、魅力的なまちづくりをする必要があるだろう。そして、住み続けられるまちを維持するためには、地域の人々が共通の認識のもと持続的に関わり合う環境が必要となる。そのためには環境創造の調整役となる人材を継続的に創出するための「自主的な自治の育成」がキーワードとなるのではないだろうか。

(本社事業部、不動産鑑定士・松浦理映子)

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