今年4月から社長に就任した。新型コロナで逆風が吹き荒れる中で社長として会社のかじを取る船出となった。
入社以来30年以上、住宅に携わってきたが、仕事の上で転機となったのは、97年、札幌支店に勤務し、宅地開発と都心部のマンションを手掛けていたときだ。その年、地元最大手の銀行である北海道拓殖銀行が破綻した。工事現場の下請けから顧客まで、手掛けていたすべての仕事が止まってしまった。それまで当たり前に行っていた業務がすべて根底から崩れてしまった。
北海道において、北海道拓殖銀行のブランドは小学校のPTA会長にまで影響力があるほど大きなものだった。そこで学んだのは、ビジネスに絶対はないということだ。今回のコロナもそうだが、想定していないようなことが時として現実に起きる。そして、その対応策は、きちんと仕事をすること。それが解決の道だと思っている。
肝が据わったのは、そこからかもしれない。それまで考えてもいなかったことを、取引先や本社とのギリギリの折衝を一つひとつ重ねていった。そのときに、助けてくれた同僚や先輩、一緒に頑張った取引先とは社長となった今でも付き合いがある。危機にきちんと向き合って仕事をすることが信頼につながる。このときに得た人間関係や信頼は、何よりの財産となっている。座右の銘である「一期一会」を実感した瞬間でもあった。
学生時代に行っていたセーリング。その魅力は、風を感じながら前に進んでいくことにある。順風のときはもちろん、逆風のときも帆をうまく使うことで前に進むことができる。風上へ向かってジグザクに前に進んでいくことがセーリングの醍醐味だ。新型コロナという逆風の中、会社という船をしっかり前に進めていくことが、今の大きな使命となっている。東京都出身、56歳。(桑島良紀)























