地域が変わるインバウンド 交流人口増加がもたらす恩恵 140 酒ツーリズムで地域を活性化 (5) 山梨はワインリゾート構想だ
住宅新報 2020年7月14日 号 9面

ブドウ畑の美しい景観の中にワイナリーがある
富士山だけしか…
山梨県は、富士山という外国人旅行者に人気の観光コンテンツを抱えているものの、インバウンドに対する危機感を抱いている。それは、富士山が13年に世界遺産に選ばれ、富士山周辺の河口湖や忍野八海等の定番コースは確かに外国人旅行者が増えたものの、その他のエリアが苦戦しているからだ。
富士山への外国人旅行者の行動パターンで一番多いのが東京からの日帰り、次いで箱根に抜けて温泉宿での宿泊となっている。せっかく山梨県に来てもらっても、他のエリアの魅力が伝わらず、帰ってしまう。
ワインの里で連携
そこで、足を延ばしてもらうための取り組みが始まった。それが「富士の国やまなし 峡東(きょうとう)ワインリゾート構想」だ。これは、甲府盆地の東部に位置する峡東地域の3市(山梨市、笛吹市、甲州市)のエリアをつなぐプロジェクトで、15年の夏にワインをテーマに3市を中心とした協議会の準備会を第一弾として発足させ、3市が連携して相互に補完するプロジェクトが始まっている。
この3市は約60ものワイナリーが集積する国内随一のエリアだ。更に掘り下げると、甲州市には30のワイナリーがあり、半数のシェアを占めている。一方、笛吹市には県内最大の石和温泉郷があり宿泊に強く、山梨市には人気の自然景観スポットがある。
同協議会では、各市で歩いてワイナリーを訪ねる広域ガイドマップを作成し、東京での物産展等で配布した。またJR東日本と連携した「ワイン列車」が登場して好評となった。峡東ワインリゾートのホームページでは、各ワイナリーの詳細な案内や宿泊施設のワインに合う料理を紹介するなど、テーマの統一を図っている。
ワインを学べる宿
一方で、ワイナリーでも独自の動きが始まっている。古民家を活用したゲストハウスを17年の3月にオープンし、ワインの歴史などを学びながら、じっくり試飲できる落ち着いた空間を提供している。ワイナリーも観光客の受け入れ体制の充実を図り、地域を盛り上げようと取り組んでいる。
地元では、「ワインが売れれば、それと密接な関係のブドウ畑の手入れが行き届き、美しい景観も守られる」という声もある。その結果として、更に多くの外国人など観光客に来てもらえる好循環を期待する。






















