姫路市の『のぞみ野』に見る 共創型まちマネジメント まちの価値を上げる共創型 ▶(1) 横浜市立大学都市社会文化研究科長 齊藤 広子
住宅新報 2020年7月14日 号 3面
行政と住民の共創
電柱や電線がなくすっきりと青空が広がる。この道路に入っていいのかしら。だって、ベンチがあるし、緑がいっぱい。先が見えないし行き止まりかも。どこまでが道路でどこまでが宅地か分からない。舗装もアスファルトだけではなくれんが張りである。
こんな道は通常、行政に移管できず、住民による全面管理になりやすい。しかし、このまちでは魅力的な道路(埋設物含む)や公園は行政の管理。住民は道路の植栽の手入れや将来道路の舗装に修繕が必要になればれんがを自分たちで提供する。住民は行政と役割を補完し合い、重すぎない負担でまちの魅力を享受する。
住民同士の共創
「隣の窓と見合っていて、我が家の窓を開けたことはない」などとならないように、景観協定と景観形成ガイドラインでお互いの住まいの快適さを確保する。気に入って住んだまちで、近隣トラブルはもってのほか。お互いが気持ちよく暮らすために具体的に何をすればよいかを示したガイドラインがある。
更に「お父さん、昼間からビールを飲んで騒がないで」と家族や近隣に叱られないように、まちのリビング、コミュニティハウスがある。そこでは、パパたちはシアタールームでサッカー観戦、ママや子供たちは楽しい食事会等に利用する。
開発事業者と住民の共創
コミュニティハウスの所有や運営、景観協定やガイドラインの運営等は管理組合が行う。その運営をサポートし、まちの緑の手入れやごみ収集の後の清掃、フロントサービス等はコミュニティ・マネージャーが対応する。そのための住民の費用負担が重くならないように、管理組合自身が不動産収入を得る。こうした仕組みを住民が理解し、事業者と対立しないように、開発事業者は初動期をしっかりと支援をする。
こうして、まちの価値が上がるマネジメント体制を開発時から整えています。
さいとう・ひろこ=横浜市立大学都市社会文化研究科長、国際教養学部教授。大阪府生まれ。筑波大学都市計画専攻を卒業し、不動産会社勤務、イギリスケンブリッジ大学客員研究員、明海大学不動産学部教授を経て現職。博士(不動産学)。日本型HOA推進協議会会長。19年にのぞみ野で都市景観大賞優秀賞を受賞。著書に『初めて学ぶ不動産学:住まい・まちのマネジメント』等他多数。
























