外出自粛に迅速対応 コロナ収束後も継続 大手ハウスメーカー 注文住宅・オンライン相談
住宅新報 2020年6月16日 号 1面
住宅業界はリアルな住宅展示場を軸に集客を行い、見込み客を獲得して契約に至る流れを持つ。一連の流れの中で対面での打ち合わせが繰り返されるが、新型コロナウイルスの影響でそうした動きができない状況が発生した。
4月7日には政府による緊急事態宣言の発表。同宣言の対象は全国に拡大され、住宅展示場では一時的な休業や閉鎖が相次いだ。大手ハウスメーカー9社(積水ハウス、大和ハウス工業、積水化学工業住宅カンパニー、住友林業、旭化成ホームズ、ミサワホーム、三井ホーム、パナソニックホームズ、トヨタホーム)は4月7日の同宣言前後で、オンライン相談を開始している。理由や背景には当然、新型コロナの影響がある(表1)が、その動きは迅速だったと言える。
各社は開始に当たり、商談手順のマニュアル化、取り組み・活用事例の共有化、ツールの追加など社員へのサポートを進めた。オンライン相談は公式ウェブサイト・SNSでの発信、ダイレクトメール、ウェブ広告などで顧客への周知徹底を図っている。
4月当初から「おうちで住まいづくり」プロモーションを開始した積水ハウスは、資料請求に対して設計やプランを疑似体験できるVRスコープを進呈。展示場見学が体験できる動画の公開も継続している。「VRなどのツールは日頃より展示場などでも活用しており、また、その他のツールに関しても使い勝手の分かっているものを採用しているため混乱もなく導入」(積水ハウス)できたという。
大和ハウス工業は「リモート商談手順を資料化し、当社のシステム関連窓口での受け付けなど支援体制を構築。(担当者が)座っての商談は資料が共有しやすいノートPC、建物のリモート案内は会社貸与のiPhone、iPadと使い分け」を進める。
オンラインでの相談実績は未集計や非公開が多いが、総じて顧客の反応は悪くない。「契約後、工事着手前の打ち合わせを『自宅に居ながらできる』と好評価」(旭化成ホームズ)、「こうした時期でも検討しておられるお客様なので確度はよく、反応もよい」(三井ホーム)、「30代のお客様や、普段からウェブ会議を使い慣れているお客様には抵抗なく受け入れられている」(パナソニックホームズ)といった意見が寄せられた。
ただ、課題や反省点は残る(表2)。顧客の世代の違いや通信環境の問題があり、実物が体感できない点はやはり大きな課題だ。
リアルとの両立を視野に
新型コロナ収束後も、継続的な取り組みを想定する。主な意見は以下の通り。
「住宅購入を検討するお客様はまず、各社のウェブサイトなどを見るケースが多い。『世界一 幸せなわが家』への希望や期待を家族と一緒に膨らませていただくためのツールの一つとして今後も利用できる」(積水ハウス)。
「コロナ禍後も働き方改革の一環として、移動時間、移動費用を削減できるオンライン商談を推進」(大和ハウス工業)。
「営業手法の一つとして継続。一度の打ち合わせで、複数の部署の担当者が必要なタイミングで参加することができ、場所を問わず適切な担当が直接打ち合わせできる」(旭化成ホームズ)。
それでは、対面営業や住宅展示場との兼ね合いはどうだろうか。
ミサワホームは「お客様にとって『一生に一度の買い物』という側面から、やはり『直接会って、しっかり物を見て、安心して買いたい』という需要がある。一方で対面営業、および住宅展示場の再開後もオンラインの需要は一定数ある」と考察。大和ハウス工業は「対面営業や住宅展示場がすべてなくなることはないが、商談プロセスの一部が徐々にオンライン化していくことが想定される」と回答する。また、積水ハウスはオンライン相談の効率性を認めつつ、「住宅展示場や住まいの夢工場(体験施設)といったリアルなものを見てもらう施設で、イメージギャップを埋め、納得してもらう場面も引き続き必要」と、リアルとの両立も想定している。
近年、業界では住宅展示場の課題が話題に上ることが多かった。オンライン相談が展示場の長所や魅力を改めて明確にし、対面営業全体の役割やあり方を変化させていく可能性はある。
次の段階は営業ノウハウ共有
三井ホームなどにオンライン商談システム「BellFace」を提供しているベルフェイスは、BtoCビジネスのオンライン営業支援では「顧客に負担をかけないことが重要」(セールスグループの岩田恭行ゼネラルマネージャー)と指摘する。
一般消費者である顧客は、必ずしもPCやスマートフォンなどITに詳しい人ばかりではない。また、ビデオ会議システムは、快適性がハードの性能や通信環境に左右されるため、顧客の環境によってはオンライン商談がストレスとなりかねない。
オンライン商談システムは「電話と来場の間を埋めるもの」(同)と主張する。商習慣や法令などの問題がクリアできれば、オンライン商談システムを拡張して契約、引き渡しまで対応することは可能だという。ベルフェイスはVR内覧ツールを手掛けるスタイルポートとパートナー契約を締結し、住宅販売向け支援を強化する。
次のステップとして、住宅・不動産業界向けには、オンライン商談システムを通じた支店間の連携支援が次の提供価値だと主張する。様々な理由から、同じ会社の支店間で営業の知見やノウハウの共有ができていないことが多い。これらの共有は売上高アップにつながるとみている。
























