幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 91/100 社会とつながる基盤 個性を発揮できる砦に
住宅新報 2020年5月12日 号 11面
連載: 幸福論的「住宅論」

人は誰でも孤立や孤独を恐れる。なにかしらの集団や組織に属していたいという欲求はきわめて自然である
住まいは、人が社会の一員として存在するための基盤である。物理的にも精神的にも人は住まいを通して社会とつながっている。
物理的にという意味は二つある。一つは、言うまでもないが過酷な自然環境から身を守るのが住まいである。もう一つは、国民の一人として行政サービスを受けるために必要なのが、ハードとしての住まい、つまり「住所」である。例えば、今回のコロナ対策では、生活支援金としてすべての国民に一律10万円が支給されることになったが、これも住所がなければ受給できない。
一方、人は精神的にも住まいを通して社会とつながっている。アメリカの心理学者アブラハム・マズローは人間の欲求を五段階に分けた。その第三段階が社会的欲求で、なにかしらの集団や組織に所属していたいという欲求である。この欲求が満たされないと、人は孤独や社会的不安に陥るという。






















