残したい情景~文化的歴史的所産を巡る~ 第44回 広島県広島市 一般財団法人 日本不動産研究所 中四国を代表する広域型商店街 集積度向上へ高度利用を
住宅新報 2020年3月17日 号 18面
広島本通商店街は百貨店、金融機関やオフィスビル等が建ち並ぶ広島市の中心商業地域に立地する、中国・四国地域を代表する広域型商店街で、一般に「本通(ほんどおり)」という呼称で広島市民に広く親しまれている。今回はこの本通について紹介したいと思う。本通の長さは東西約577メートルで、幅員は約11メートル。原爆ドームや広島平和記念公園も程近い場所に立地している。
被爆で一時は廃墟に その歴史は古く、江戸時代、現在の本通は広島城下を横断する西国街道(山陽道)の一部で、17世紀に書かれた「安芸国広島城所絵図」にも広島城の南に東西に延びる赤い線がはっきりと描かれている。
昭和の初め頃が一番の賑わいだったと言われ、通りの両側に立つすずらん燈が道行く人を楽しませ、夜遅くまで店が開いていたとのこと。しかし、被爆により広島の街は壊滅状態となり本通も廃墟となったが、戦後まもなく復興を遂げ、1954(昭和29)年には初めて通りにアーケードが設置された。現在のものは可動式で3代目となる。
週末には家族連れや若者、旅行者たちで本通は特に賑わいを見せ、来場客は10万人ともいわれ、まっすぐ歩けないほどである。
商店街には、衣料、医薬品、貴金属等の物販店舗を中心に、約200の様々な店が、老舗もナショナルブランドもごちゃ混ぜに立地している。
広島市民にとって本通は、単に買い物をするための場所ではなく、それ以上に愛着のある場所である。16(平成28)年のプロ野球リーグ戦で25年振りにカープが優勝した時には、通りを埋め尽くすほどのカープファンが集まり、夜通し応援歌の大合唱や誰彼かまわずハイタッチが繰り返された。また、日米通算203勝を挙げ多くのカープファンから愛される黒田博樹選手の記念石碑もここに設置されている。
通りをよく見ると、建物の2階に和装店、呉服店、刃物店、陶器店等が店を出しているのが分かる。おそらくは古くからの老舗なのであろうが、1階を今風の店舗に賃貸し、自分たちは立地が劣る2階で馴染み客のために商売を続けているのだろうか。時代の趨勢に逆らうことなく、したたかに生き残る老舗の強さを感じる。
以前はほとんど空き店舗がなかったと地元の人は言う。しかし最近は、ちらほら空き店舗が見られる。店舗の賃料は坪当たりだいたい3~7万円とされてきたが、賃料の割高感が発生しているのかもしれない。
顧客の奪い合い 近年、広島市郊外の国道沿い等にいくつも大規模なショッピングセンターが立地し、自動車に乗ってこれらの店で休日を楽しむ家族連れが増加しており、大規模郊外店舗間、あるいは郊外店舗と旧来の中心商業地域の店舗との間で顧客の奪い合いが起こっている。中心市街地に確保されている駐車場が限られているため、郊外店舗への顧客の分散が本通の空き店舗となって影響しているとみられる。
本通は間口の狭いウナギの寝床のような店舗が連なっている。多くの店舗が2~3階建てで、容積率600%であるのに間口のせいで高度利用がなされていない。周辺店舗が協力して大きなビルを建てることで高層化でき、集積度が増すのではないか。駐車場の増設と併せてこれからの課題であろう。(中四国支社/不動産鑑定士・福田紀夫)

























